Introduction to HANS KELSEN

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ここでは「純粋法学(Reinerechtslehre)」の主張者でもあり、憲法・国際法・法哲学で活躍したHans Kelsen(1881-1973)について簡単に説明を加えています。彼の理論は日本でも幅広く戦前から議論されてきました。

■Hans Kelsenについて

1881年プラハで生まれ、1945年以来アメリカの市民であるハンス・ケルゼン教授は、純粋法学の創始者として、またナチ体制によっていったん破棄されたものの、今日通用しているオーストリア憲法の起草者として最もよく知られている。彼は、法および法哲学について40以上もの著作を残してきた。もし翻訳も含めるのであれば、彼の著作は500以上にも及ぶ。ケルゼン教授は、最後のオーストリア皇帝・第1次共和国政府の法律面での助言者であったし、オーストリア最高憲法裁判所の常設の助言者であり、そしてヴィーン大学法学部学部長も歴任した。また彼はジュネーヴにある国際研究研究所・プラハ大学などでも教鞭をとった。

(以上はHans Kelsen, The pure theory of law 〔translated by Max Knight〕のブックカバーを要約したものである)

 まず第1に彼の法理論は、「純粋法学」と称されうる。哲学的には、新カント派に起因するその理論の最大の関心事は、ケルゼンが『純粋法学』の初版(1934年)で述べているように、あらゆる政治上のイデオロギー、あらゆる自然科学上の要素から離れ、意識的な法理論を発達させること、法学を真正の学問・精神的学問の高さまで持ち上げること、もっぱら法の認識に向けられた傾向を展開させること、などである。古い学問に新しい哲学上の基礎を付与するというこの必要条件は、当時の学術史の状況から生じるものである。すなわち、19世紀において優越的地位を占めていた法実証主義は、法を社会的権威の指示−存在−から引き出し得ると考えていた。

 しかし如何様にして、「当為(Sollen)」上の指示の体系としての法は、「存在(Sein)」、実効的な社会的権威から引き出されうるのであろうか。根本規範の理論を用いて、ケルゼンは、古い実証主義を批判的法実証主義へと変化させた。ケルゼンの著作には、『純粋法学』初版・第2版(1934・1960年)、『法と国家の一般理論』(1945年)、『規範の一般理論』(1979年)などがあり、彼の法理論はヨーロッパばかりでなく、アメリカや日本にもいきわたっている。

 (以上はハンスケルゼンインスティテュートHP掲載の文章を要約したものである)

■Kelsen補足

ケルゼンの著作の邦訳はたくさんあるのですが、ことごとく絶版になっており入手困難になっています。そこでむしろオンラインで原典を購入したほうが手っ取り早いです。また長尾龍一教授の『ケルゼン研究T』(信山社叢書・1999年)も、ケルゼン理論の理解には有益です。
なおこのサイトではケルゼンの動画を配信しています。一度ご覧になってはいかがでしょうか。

管理人の好きなKelsenの文章です。Kelsenの価値相対主義が良くあらわれていると思います。括弧( )は管理人が補いました(Hans Kelsen, Was ist Grechtigkeit? 〔Reclam〕S.52)。

わたくしは「正義とは何か?」という問題から、この論文を書き始めた。今やこの論文の終わりにきて、わたくしは十分に以下のことを意識している。即ち、この問題を答えることができないということである。そしてわたくしの出した決断は、この点では、良い杜会に存在している、ということである。わたくしの読者に、偉大な思想家たちの(正義論について)誤ったであろうという点を信ずるように、わたくしが押し付けることは、思い上がり以上の何物でもない。実際、わたくしは、正義や絶対的正義とかが何であり、人類の長年の夢であった(正義概念の構築が)何であるかを知らないし、語ることもできないのである。わたくしは、相対的正義概念で満足せねぱならないし、わたくし自身にとって正義であるところのもののみについて語ることができるのである。学問がわたくしの職であり、それは、そういう点でわたくしの生涯において最も重要なものであるから、各々の正義や、またその保護の下で学問は、また学問によって真実や誠実さなどは進捗し得る(と考える)。最も重要なことは、自由という正義友好という正義民主主義の正義寛容(Toleranz)の正義である。