■Hans Kelsen, General theory of law and stateまとめ11

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Hans Kelsen, General theory of law and stateの私的備忘的まとめです。2007年の第2刷版を用いています。

Part1 THE LAW

■NOMODYNAMICS

■XI 規範の階層

A.高次、低次の規範(pp.123−124)
規範は、他の規範により定められた方法で創造されたが故に妥当する。他の規範創造を規律する規範は高次の規範であり、この規律により創造された規範は低次の規範である。故に国家に擬人化された法秩序は、規範の体系ではなく、諸規範に関する異なるレヴェルの階層である。この高次、低次の無限の構造は、法秩序の妥当性についての究極の理由である、法秩序の結合を構成する最高次の根本規範により終わる。

B.法秩序の異なる段階
a.憲法
1.実質的、形式的意味における憲法;一般規範の創造についての決定(pp.124−125)
国家の法秩序の段階構造:根本規範(仮説)、国内法秩序におけるもっとも高次のレベルにある規範、憲法。

ここでの憲法は、形式的意味の憲法(憲法と称される正式の文書)ではなく、実質的意味の憲法(一般法規範、特に制定法の創造を規律する規範)を指す。憲法改正の手続を厳重にする前者は欠かせないというものではないが、あらゆる法秩序にとって重要なものである。

2.憲法による一般規範の内容決定(pp.125−126)
実質的意味における憲法は、立法機関、立法手続を規定するばかりでなく、ある程度将来の法の内容をも規定する。
憲法は、ある内容を法が有してはならないと否定的な規定することで、法の内容、司法的決定、行政的決定も規律する一方、積極的に将来の法内容も規定し得る。

3.憲法により決定されるものとしての慣習(pp.126−128)
法適用機関が制定法の他に慣習を適用しなければならない場合→憲法による慣習(法創造事実の制度化(不文の制度化もあり得る)。

⇔慣習は、制度的なものではなく、法の規則の先在の宣言とする立場:e.g.Savigny, Dugit←実定法の背後に「真」の法があるとする自然法思想の1グループ。

慣習法と制定法の差異は、前者が分散的な法創造である一方、後者は集中的な法創造であるということに存する。

b.憲法を基礎にして制定された一般規範。制定法、慣習法(p.128)
立法、慣習の方法で設立された一般規範は、法の階層構造において、憲法に次ぐ段階を形成する。この一般規範は、(1)法適用機関、法適用機関により遵守されるべき手続、(2)個別規範を創造することとなる、これら機関の司法行為、行政行為について決定するという機能を有する。

c.実体法と手続法-Substantive and Adjective Law(p.129)
法適用機関による法適用には2種の規範が伴われる。法適用機関の設定及びその機関が遵守すべき手続を決定するという形式的規範と、司法行為、行政行為の内容を決定する実質、実体的規範である。通常、法適用について言及される場合は、後者の規範のみが想定されるが、後者の規範なくして前者の規範はない(手続法なくして実体法はない)、この2種の規範は分離して考えられないものと解すべきである。

d.一般規範による法適用機関の決定(pp.129−130)
実質的な憲法は、主にどんな機関により、どんな手続を通じて一般規範が定められるべきかを決定し、一般規範の内容を未決定のままにしておく。一方憲法に従い立法や慣習により創造される一般規範、制定法は、司法、行政機関や司法手続、行政手続ばかりでなく、個別規範の内容、法適用機関によって発せられるべき判決や、行政行為の内容をも決定する。

e.下位立法-Ordinances, Regulations-(pp.130−131)
立法府によって発せられるのではなく、立法府の発した一般規範を基礎として他の(行政等)機関により発せられた一般規範を下位立法という。この下位立法と制定法の区別は、一般規範の創造が、原則立法府に留保されている場合、重要なものとなるし、また、民選議会が存在し、立法権が原則司法、執行権と分離されている場合にも、下位立法と制定法の区別が重要なものとなる。

f.法の「源」、法源(pp.131−132)
法の源、法源という言葉は法創造の方法ばかりでなく、法の妥当性についての理由、究極的理由をも特色付けることになるが、とすれば根本規範も法の源となる。広義の意味では、あらゆる法規範は他の法規範の源となる(e.g.憲法は制定法の源、制定法は判決の源等)。法の源はいつも法それ自体なのである。