■Hans Kelsen, General theory of law and stateまとめ10

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Hans Kelsen, General theory of law and stateの私的備忘的まとめです。2007年の第2刷版を用いています。

Part1 THE LAW

■NOMODYNAMICS

■] 法秩序

C.法秩序の根本規範
c.合法性の原理(pp.117−118)
合法性の原理:妥当性の開始及び終了は、規範が属する法秩序によって決められる。

*旧秩序が予期していない方法で、新秩序により取って代わられる(クーデタ)の場合における法秩序、規範の効力→旧憲法が取って代わられたので、旧憲法規定の方法によって創造された規範は効力を有しないが、もしも旧憲法下の法が妥当し続けるなら、それは新憲法により妥当性が付与された場合である。

d.根本規範の変更(p.118)
君主政から共和政へ統治機構を変更するために力を用いて権力を奪取して成功した場合、旧秩序は止み新秩序(共和政)が妥当なものとみなされ、行為の合法、違法性判断はこの秩序によることとなる。これは新しい根本規範の仮定を意味する。

ここでの奪取行為が失敗すれば、それは合法行為、新憲法制定という法創造行為ではなく、違法行為、反逆行為と解釈される。

e.実効性の原理(pp.118−119)
個別規範は、それが属する全体法秩序が全体として実効性を喪失した場合、その妥当性を喪失する。全体法秩序の実効性は、当該秩序内の前個別規範の妥当性についての必要条件である。個別規範は、全体法秩序が実効的だからという理由ではなく、それがが憲法上の方法で創設されたが故に妥当するが、全体法秩序が実効性を喪失した場合、個別規範は妥当性を喪失する。

f.Desuetudo(pp.119−120)
Desuetudo:慣習に基づく否定的法効果。慣習に基づく規範の廃止→当該規範の妥当性の喪失。

制定法が、desuetudoにより妥当性を失うかどうかという問題は、法源としての慣習が、法秩序内において制定法で除外されているかどうかという問題にかかわるが、法的規範は何でも、制定された規範であってもdesuetudoによってその妥当性を喪失することが有り得る。

f.「当為」と「存在」(p.120)
ある法秩序の妥当性は、現実への同意すなわちその実効性にかかってくる。法秩序の妥当性と実効性の間に存する関係は−言わばそれは「当為」と「存在」の間の緊張関係である−、上限と下限の限界線によってのみ決せられ得る。

g.法と力(権利と力)(pp.120−121)
法秩序の妥当性は、実効性にかかってくるが、存在と当為の2つの現象を混同すべきではない。この両者を同一視することは、法が現実に対して向けられ、現実に反しても立脚するところの特殊意味を理解することができなくなる。

法の実効性が現実の領域に属し、それは法の力と呼ばれる。実効性の問題を力に置き換えると、妥当性と実効性の問題は、権利と力の問題に引き写される。力なくして法は存在しないものの、両者は同一ではなくい。法は、力の特殊秩序または組織である。

h.実定法規範としての実効性の原理−国際法と国内法−(pp.121ー122)
法秩序は妥当するためには実効的でなければならない、という原理は、それ自体実定的規範であり、国際法に属する実効性の原理である。この原理によると、憲法を基礎に設立された法秩序が概して実効的である場合にのみ、国家の憲法は妥当性を有するということになる。この結果、異なる国家法の根本規範は、それ自体国際法の一般規範に基づくものとなる。

ここで、国際法を全国家が服従する法秩序と理解するならば、国内法秩序の根本規範は、法律学思考上の単なる仮説ではなく、実定的規範、具体的国家の法秩序に適用される国際法上の規範となる。

j.妥当性と実効性(p.122)
第1の憲法が妥当性を有するなら、それによって定められたすべての規範、個別規範は妥当する。国際法で具体化されている実効性の原理は、第1の憲法にのみ帰属するが、この原理は国内法においてもある程度受容されているので、個別規範の妥当性はその実効性にかかってくる。

D.法の静的、動的概念(pp.122−123)
法を動的に見ていくと、ここまで述べてきた法の定義と異なるもの、法の定義から強制の要素を取り除くことも可能になりそうである。動的観点からの定義を前提にすると、法は憲法規定の手続で創造されたあらゆるもの、となるが、しかしこの観点は、ある規範が妥当な法秩序に属するかどうかには答えるが、法の本質が如何なるものかについては答えを出していない。法の制定手続により創造されたあらゆるものが法規範の意味における法なのではなく、制裁としての強制行為により人間の行為を規制するものが法規範の意味における法である。形式的意味では、法は法規範ばかりでなく、正義とかといった非規範的要素も含まれるが。