■Hans Kelsen, General theory of law and stateまとめ3

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Hans Kelsen, General theory of law and stateの私的備忘的まとめです。2007年の第2刷版を用いています。

Part1 THE LAW

■NOMOSTATICS

■T 法の概念

D.法規範(p.45)

a.法規範及び記述的意味における法的規則(p.45)
法の本質:強制←当為←制裁による担保

このことは、法創造機関が必然的に仮定的な「当為」の言明を規範に与えることを意味しない。立法者は処罰されるであろう(will be)という言葉を用いるからである。ただこの未来形の言葉により、立法者は処罰されるべきという当為を表現する。

これらの立法者の言明と、立法者により創造される規範は混同されてはならない。そこでこれらの言明は法的規範ではなく、法的規則と呼ぶのが望ましい。

b.法の規則及び自然法則(pp.45−47)
法の規則、自然規則共に原因と結果を結びつける点で共通するが、前者は規範性を問題にし、後者は原因性を問題とする。

規範と自然法則:前者は例外があり、後者はないといわれるが、これは誤りである。

c.評価基準としての法規範(pp.47−49)
法規範:「機関による執行、個人による遵守」「機関、個人の行為の合法、違法判断の基礎」。

後者は、客観的な法的価値判断としての規範の機能を示す⇔主観的な正義の価値判断。自然法思想は主観的利益の客観化であるが、事実によるテストに耐えない。一方法的価値判断は、事実に基づいた客観的テストに耐え得る。

■U 制裁(pp.50−51)

法律学の中心的概念:これまでの「規範」の他に、制裁、不法行為、法的義務、法的権利、法人格、法秩序がある。

制裁 元来は刑事制裁→民事上の制裁の登場という経緯をたどる。

刑事法の目的は方法、予防にあるのに対して、民事法の目的は損失の回復にあり、両者は訴訟手続も異なるが、刑事、民事上の制裁は、社会技術的には異なるものではない。

■V 不法行為

A.それ自体悪と禁じられた悪(pp.51−53)
不法行為:制裁が法規範により結び付けられているところの条件。特定の人間の行為は、法秩序が、条件としての当該行為に結果としての制裁を結合させているが故に、不法行為となる。

「それ自体の悪(mala in se)」「禁じられた悪(mala prohibita)」の区別←「人間の行為は、その性質上不法ということ」(自然法思想)の影響。ただこれは非実証的である。

法律上の問題、実定法上不法行為の概念はいかに定義されるのかという問題と、道徳政治的問題、どんな行為を立法者が不法行為に結びつけるかという問題を区別すべき。

それ自体の悪はなく、禁じられた悪のみが存在する。行為は禁じられた場合にのみ悪となる。cf.罪刑法定主義。

B.制裁の条件としての不法行為(p.53)
不法行為は制裁の条件と特質付けられるが、これは唯一の条件ではない。民事事件における他方当事者の訴え等も条件となるが、では不法行為の本質的特質は何か→法規範の特別的存在を危険とする行為

C.制裁が向けられる個人の行為としての不法行為(pp.54−56)
不法行為概念の基準は、法規範を構成する要素であり、この要素は、法規範の内容分析で見出されるものである。

不法行為は、不作為でも良い。e.g.子供の不法行為をとめない親の処罰(社会的に有害とされる行為をした個人とは別の個人に向けられる制裁もある)。

D.過失行為者と彼の所属団体の構成員との同一性(pp.56−57)
古代法における制裁は、義務違反者ばかりでなく、義務違反者が参加している集団、この集団の構成員すべてに対しても向けられた。∵AとAが属する集団を同一視した。→不法行為の主体と制裁の客体が一致する。

E.法人の不法行為(pp.57−58)
上述の同一視は、法人の不法行為の場合にも見出される。法人は、法人の機関(個人)により犯された不法行為の実行者とみなされ得る場合がある。e.g.国際法における、国家機関の不法行為が国家の不法行為とみなされる等。

不法行為の2類型:@不法行為者と制裁が向けられるものに肉体的(physical)同一性がある、A法的擬制による同一視。@の場合は直接の不法行為者に制裁が向けられるが、Aの場合は、過失行為に対しに法的に決定されたある関係を有する個人に向けられる。

■法的義務

A.義務及び規範(pp.58−59)
法的義務は、単に、規範の中で制裁が結び付けられている行為をした行為者に対する関係における法的規範である。不法行為として、制裁の条件となっている行為と反対の行為が法的義務の内容である。法的義務は不法行為をしない義務であり、それは法的義務に従うという服従義務である。

B.義務と当為(pp.59−60)
法的義務の概念は、当為を想定する。誰かが法的に一定の行動を義務付けられているということは、機関が反対の行動の場合に彼に制裁を課す「べき」ということを意味する。

規範の2形態:@機関が不法行為者に制裁を課すA@の事案で機関が制裁を課さない場合、別の機関が@の機関に制裁を課す。@は法を適用するのではなく、法に服従していることを意味する。

C.二次的規範(pp.60−61)
@盗みを個人に禁ずる規範 A@違反の場合に制裁を執行する規範:@一次的規範A二次的規範。

法は、一次的規範である。∵法:制裁を規定する強制秩序という性格を有する。

D.法的規範服従、法的規範適用(pp.61−62)
規範への服従、不服従(個人)⇔法的規範の適用、不適用(機関)

法により、真正の、一次的規範を理解する限り、この規範は機関による「適用」により実効的になる。当該機関は個人が法「不服従」の場合に、正確に法を適用しなければならない。

E.オースティンの一次的規範、二次的規範の区別(pp.62−64)?
オースティンは二次的規範規範について明晰さを欠く。合法的行為を規定する命令の中には、制裁概念を入れる余地がない。命令が義務的要素を有するのは制裁の手段によらざるを得ないのであるが。そこでオーステインは制裁的命令の概念を別に入れざるを得ない。