■Hans Kelsen, General theory of law and stateまとめ2

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Hans Kelsen, General theory of law and stateの私的備忘的まとめです。2007年の第2刷版を用いています。

Part1 THE LAW

■NOMOSTATICS

■T 法の概念

C.妥当性と実効性(pp.29−30)
法の要素としての強制:法規範の内容部分として、この規範により規定されている行為としてのみ意味のあるものとなる→ここでは実効性ではなく、法の妥当性が問題となる。

a.規範(p.30)
窃盗を処罰する規則は、窃盗が処罰されない場合でも妥当する→法的規則は、その実効性を欠く場合でも妥当する。

妥当性という言葉によって、諸規範たる特別な存在が考えられる。規範とは何か。

1.指令−例えば意思の表明−としての法(pp.30−32)

Austin:すべての法や規則は命令である。

Austinは、命令と拘束力のある命令を同一視するが誤りである(Kelsen)。力において優位にある誰かが発した命令すべてが拘束的なのではなく、拘束的性質を有する命令を発することが権威付けられているか授権されている者による命令のみが拘束的となる。

2.法的取引における当事者の「意思」(pp.32−33)
命令:ある特定の個人が意思行為(? act of will)を表明した時のみ存在→act of willは、その客体とする誰かを有することと言葉などによる表明の2要素を有する→遺言はこの要素を欠く。遺言者の意思によって作られた何かに命令の拘束力が属する。

拘束力のある契約:当事者が契約締結後、その契約を欲しなくなっても契約は当事者を拘束する→契約が締結されるところの手続に、当事者双方の内心に真の意図や「意思」が存在するかは疑わしい。

3.立法者の意思(pp.33−34)
制定法は立法過程の完成によって始めて存在するのであり、その存在は立法府に属する個々人の現実的意思にあることはない。法律家は、ある制定法の内容を立法者が欲しなくなっても、存在するものと扱うし、立法者が死亡しても制定法は存在する。

→拘束力を有する制定法は、それを作った精神の中にある意思では有り得ない。

4.指令としての慣習法(pp.34−35)
慣習に従い行動した人の意思や指令が慣習を構成するという考えには賛同できない。

5.当為(pp.35−37)
規範が妥当する:一定の個人が他者があるやり方で行動することを「望む」ことを意味し、仮にその行動がない場合でも規範は妥当する(規範の妥当性は「行動の現実的存在」を意味しない)→存在と当為の区別は法の記述にとって基礎的なもの。

*補足 法がそれにより拘束される人によって作られるのは矛盾ではないし、それは民主政のエセンスでもある。cf.指令と指令される者の同一性。

b.一般規範と個別規範(pp.37−38)
自然法則(the nature of law)との誤用を防ぐため、ruleではなくnormとしての法を特徴付けたい。
ruleとlawの同一視は、法を唯一の一般規範と認識することになる←法は、唯一の場合よって一度だけ適用される個別規範もある。e.g.判決。

c.条件規範、非条件規範(pp.38−39)
一般的法規判は、仮定、条件的的言明の形をいつもとる。個別規範も同様であるが、そうでない場合もある。2年間の自由刑という刑事の判決は、、仮定的一般規範を基礎とする個別規範であり、非条件規範である(?)。

d.規範及び行為(p.39)
判決の執行等、規範創造の行為すべては法的行為(legal act)である。ある行為は、それが法的規範により決定されるが故にかつその限りでのみ、法的行為となる→法は、法的規範かつその規範により決定された法的行為から成り立つ。

静的視点:法的行為を生み出す規範にのみ着目 動的視点:法創造、執行行為にのみ着目→この差異の重要性は後述。

e.規範に対する行為の一致としての実効性
法の妥当性と実効性は異なったものに言及する。この両者を共に法の属性とするのは誤りである。法の実効性の意味合いは、人々の現実的行為が規範に合致するということを意味するものであり、我々は「合致行為」「合致していない行為」ということを確かめるのみである。

f.規範に反する行為(pp.40−41)
規範に合致する行為、しない行為;良い、悪いという主張←規範に従った外部的判断。ここで規範は評価の基準として用いられ、また解釈手段として機能する。

規範合致、不一致の関係は、ある行為を組み込み、妥当と考えられている規範と人間の事実上の行為の間の関係である。

j.妥当性の条件としての実効性(pp.41−42)
規範は実効的であるが故に妥当するのではない。規範が属する秩序(規範体系)が概して実効的であるが故に妥当する。

j.規範の妥当領域(pp.42−44)
規範の妥当領域 時間的制限、領土的制限、(具体的に動行動するかの)事物的制限、人的制限の影響を受ける。なお時間的制限については、規範がその効力発生後の行為ばかりでなく、効力発生前の行為を規律の対象とする場合もある(不遡及事案)ことに注意。

i.法の遡及と法の不知(p.44)
法の遡及と法の不知をどうするか。法の不知を狭く解釈する(法を知ることができたのに、知らなかったという解釈)ことで、法の遡及効と法の不知の矛盾を解決できる(?)。