■法学部法律学科「行政法総論」講義ノート(1996-1997)Page 9

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■96年11月7日分

■行政裁量論(続)

覊束行為と裁量行為のうち覊束裁量については司法審査が及ぶ
判断代置方式 裁判所が行政に代わり判断

便宜裁量に関する裁量権のゆ越・濫用の場合には司法審査が及ぶ

裁量権のゆ越・濫用の問題(行政事件訴訟法30条。実定法上の根拠とされる〔観念的なものではなく、解釈の問題〕)
→どういう場合か?

@重大な事実違反行為
A行政行為を行う動機、目的違反
B平等原則違反
C比例原則違反 必要以上の措置をしてしまう場合

過去の議論で抜け落ちていた問題

1.手続的裁量の問題
これまでの行政法学(大陸法系)は手続に着目してこなかった
→裁量面を認めつつ手続的な面からコントロールしていく

原子炉安全性認定の問題(伊方原発関連)→手続上に違法性はない
*行政内部の安全性の審査手続の過誤に着目;裁判所が自ら安全性をチェックするのではない

2.時の裁量(いつ行政行為をするかの問題)
時期裁量 要件が具備されていても問題になる e.g.建築許可の要件が充たされていても、近隣住民が建築に反対している最中等
→だからといって行政行為をすべきところを放置して良いというのではない。なおこれが問題となっている事例はまだ少ない。

塩野説による行政裁量論のまとめ
1.事実認定、2.構成要件への当てはめ(法令解釈の仕方)、3.手続の選択。4.行為の選択(効果の問題)、5.時の選択:この5つの場面で裁量が働くことになる(伝統的な裁量論は2〜4を扱っていた)

■96年11月21日分

■行政行為の瑕疵

行政行為の瑕疵 公定力の例外の場合

公定力−取消
行政事件訴訟法(無効確認訴訟〔36条〕)−無効
この2種類が制度上あるものと考えられる→区別の必要性

取消は遡って行政行為の効果が消滅する。撤回は行政行為の効果が消滅するが、遡及効がない。無効は行政行為がはじめから効力なし。

あくまで取消が原則、無効は例外である。

取消訴訟−出訴期間の制限(不可争力)⇔無効確認訴訟 いきなり民事上の訴えをすることができる

無効原因 重大且つ明白な瑕疵がある場合重大明白説、通説)

※「重大」 行政行為を行うにあたっての根幹的な要件違反→あまり問題なし(このようなミスをしているにもかかわらず、行政側を保護する必要はない)

※「明白」 誰から見ても瑕疵、欠陥であること+現に行政行為について瑕疵があること
明白性については外見を重視する判例と、実質を重視する(明白性を広く解釈する)判例の両方がある

※「且つ」 明白性は必要でないという判例もある。明白性の原則は必ず必要であるとは言えないのではないか(原田説)

無効のパターン 主体、手続、内容に関する瑕疵

・主体に関する瑕疵 行政庁の権限の問題→無権限無効

・意思表示の瑕疵 外見重視、直ちに無効になるのではない

・手続上の瑕疵 行政行為の可能性に影響するような手続上の瑕疵でなければ、取消、無効の問題とならない

・形式に関する瑕疵 要式行為(行政行為に一定の様式がいる場合)について、形式をふまない場合は無効
理由をつけると条文上はなっているのに理由をつけない場合−取消(判例)

・内容に関する瑕疵 
処分の内容がわからない場合、実現不可能な場合、重大な事実誤認(e.g.人違い)、信義則に反するなどは

瑕疵の治癒適法行為への転換
行政行為に瑕疵があっても、有効とするためのテクニック(☆手続、形式の瑕疵の場合に多い)

行政行為の瑕疵を補う(追完)ことで、行政行為を治癒することになる cf.これにはもともと違法、瑕疵が軽微な場合で、あえて取り消すものでもないという場合も含まれる

※事情の変化による要件の充足

行政行為の治癒や適法行為への転換を安易に認めるとルーズになりやすい(本来は違法な行政行為であり、「法律による行政の原理」の要請もある) 
but ではすべての行政行為について、少しでもミスがあれば無効としてよいのか(第三者が関与している場合は如何)。とはいえ行政側画に優位になるので、治癒や転換のテクニックは安易に用いるべきではない

違法行為(適法行為への)の転換 違法な行政行為を別な行為として有効とする e.g.理由差し替え ←法治主義の否定につながるので、それなりの理由が要る

*事情判決(行政事件訴訟法31条)