■法学部法律学科「行政法総論」講義ノート(1996-1997)Page 8

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■96年10月24日分

■行政行為の効力(続)

1.公定力 行政行為が違法でも取消権者が取り消すまで原則有効とされる

e.g.雇用契約の場合 解雇の理由が違法であり無効という場合
雇用者が私企業であれば、労働者は地位確認、賃金支払請求を行いうるが、公務員の場合、賃金支払請求などの前提として、懲戒処分の有効性を争う必要がある(懲戒処分=取り消すまでは有効な行政行為である。cf.地方公務員法49条「処分」)

e.g.税金の過剰支払いの場合
いきなり不当利得返還請求をするのではなく、徴税行為の取り消しをしておかねばならない。

取消権者
処分庁(異議申立手続)、上級庁・監督庁(審査請求手続)、裁判所(取消訴訟)

何故公定力という議論をするか
制度上の根拠の問題 不服申立制度、行政事件訴訟法の存在(取消訴訟の排他的管轄)が公定力の根拠。行政行為を否定するにはこれらの制度、訴訟によることが大前提とされる。

実質的な公定力の根拠
行政庁の行為そのものを争う方が理論上分かりやすい。
一応違法でも有効とする以上、国民の服従が期待できる(行政側の視点)。
行政行為は法に基づいてなされる以上、適法と推定されるのは当然(但し美濃部の時代の話)

2.不可争力 一定の期間が経過すると、国民の側から行政行為を争えなくなう≒時効
*期間が短く、早く行政行為の効力が確定してしまう(行政不服審査法〔60日〕、行政事件訴訟法〔3ヶ月〕)

3ヶ月というのは、裁判を受ける権利の観点から問題が多い(実際出訴期間をすぎているのに出訴することが多いらしい)。 ※行政事件訴訟法の改正に注意

3.自力執行力 行政行為に基づく義務を命じられた国民がそれをしない場合、判決を経ることなく行政庁が自らの力で義務を実現してしまう力

行政行為であれば当然に自力執行力があると言い得るか→言い過ぎ。権力性が強く、国民に対するダメージが強い。
自力執行力を行政行為に付着する一般的効力として認めるのはよくない。cf.行政代執行法

自力執行力にふさわしくない(ありえない)行政行為もある。
e.g.免職処分 公務員でなくなったものが登庁しようとする場合、庁舎の入り口をふさいで登庁を阻止する!?

■96年10月31日分

■行政行為の効力(続)

4.不可変更力 一事不再理、くつがえすことができない。紛争解決的な行為に認められるべき。

e.g.農地委員会の出した裁決は取り消すことができない(判例)。

行政行為一般については、不可変更力は認められないほうが望ましい(法律による行政の原則)。瑕疵があれば行政庁が取消、撤回すべき。

公定力、不可争力、自力執行力は一般的な行政行為に当てはまる(※自力執行力には法律の根拠がいる)。

行政行為の効力 
外部への表明を要するし、通知を要する場合はそれが到達して効力を有する。

公定力補足 違法であっても重大且つ明白な瑕疵がある場合以外は、当然に行政行為は無効となるものではない(判例)。重大且つ明白な瑕疵がある行政行為は、取り消しを待つまでもなく、無効となる。

■行政裁量

行政行為における裁量
行政機関はどこまでやってよいかという義務や法令解釈をどこまでにするかということを考えなければならない。

裁量にもいろいろある
事実認定の裁量
・ 行為をするかしないかの裁量
要件認定の裁量 行為のための手続の裁量
の選択裁量 いつ、どういうときにするか

行政行為は、A 覊束行為 B 裁量行為(B−1 覊束裁量〔法規裁量〕・B−2 便宜裁量〔自由裁量〕)に分類される。

B−1は司法審査が限定的になる。

A 行政行為を定める法文がきわめて明確(行政による選択の余地はない)
法治主義の理念からはこれが望ましい⇔実際は無理、法は抽象的にならざるを得ない。

※裁量は法を執行するにあたり多かれ少なかれある
→行政庁の裁量を全くなしとすると、フレキシブルな対応ができなくなるので、法文に裁量を意図的に認めておくべき場合もある。

B 行政行為の内容について、条文上不確定な文言を使っている

要件裁量と行政行為の内容・効果の裁量
大雑把に言うと、京都学派(佐々木)は、要件裁量につき裁量を認めるが行政行為の内容・効果の裁量というものを認めない。一方東大学派(美濃部)は要件裁量を認めないが、行政行為の内容・効果につき裁量を認める。

京大学派(要件裁量論) 法文の要件の定めから解釈

東大学派(効果裁量論) 行政行為の効果に着目して、覊束裁量、便宜裁量を区別する。要件認定に裁量はありえない。
行政行為の効果が侵害的なら裁量不可、授益的なら裁量可

戦後この2分論は取られなくなってきている。要件、内容・効果両者に裁量はあるのではないか?→裁量の基準は

原田説 行政庁の専門技術的なものが司法の能力を上回る場合と政治的責任を伴う政策には司法審査は及ばない。それ以外は一般人がわかる範囲は審査が及ぶ。

原田説へのコメント 専門技術性を強調すると司法判断は狭くなる。この点も一般人からの見地の検討に入った上で限界を見ることが必要である。