■法学部法律学科「行政法総論」講義ノート(1996-1997)Page 10

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■96年11月28日分

■行政行為の取消、撤回

取消、撤回−行政機関がするもの⇔判決
取消には遡及効があるが、撤回にはない。この2つの原因、効果による区別に注意。

瑕疵ある行政行為の取消と信頼の保護
法律に基づいて処分はなされるが、処分権限と取消権限は一体のものと考えられている。だから取消に関する法律がなくても取り消すことができる。

@一定の法的利益を与える意味の行政行為の取消
A第3者に利益を与える複効的行政処分

やたら取り消してはいけない(ケース・バイ・ケースで判断) 
趣旨 一定の利益が与えられており、不測の損害をこう生むる恐れがあるので。行政の側の取消の必要性とのバランスを考慮しなければならない。

B違法、不当とわかっていても取り消すと非常に大きな行政上の問題が出てくる場合(行政側の問題)

違法な土地収用があったが、その土地は行政に収用されておりすでにダム工事などが進んでしまっている→取り消しうるか?←事情判決(違法であることは認めつつ、取消は認めない)の考え方の類推

但しこういうことは安易に認めるべきではない。少し違法があってもやってしまえば大丈夫となりかねない。

C紛争裁断行為(不可変更力
裁断をしたのに後でいつでも取消す事ができるとすると、何のための裁断かわからない。

なお授益的行為の取消は、ケース・バイ・ケースで考えねばならない。取消原因が国民にある場合(e.g.虚偽の補助金申請)は取消可、行政にある場合は取消不可となる。

撤回 違法、不当理由ではないが、事情の変化を理由としてなされる

撤回の必要性と相手方保護のバランスを考えねばならない

撤回は新たな行政処分か?
(処分権限−取消、撤回)杉村説、(処分権限−取消)(撤回)原田説←どうするかで答えに差が出る

行政手続法(聴聞)との関係、損害の穴埋めをどうするか。

■96年12月12日分

■行政契約

行政上の契約 行政活動のいろいろな場面で用いる

ex.
公共事業の発注
補助金の交付(贈与契約) 行政行為の一種とする見解もあり(判例は契約説、行政行為説どちらも存在する) 

公害防止協定(公害防止に大きな役割)
高度成長→公害の発生→立法解決の立ち遅れ←公害防止協定

法的性質
a.紳士協定とする説 企業に対する法的拘束力なし
b.法定契約説 企業に対する法的拘束力あり

a.行政がここでするものがこの協定であり、b.の立場をとると法律による行政の原則に反する
b.通説的見解。相手の意思により契約しているので「〜行政の原則」には反しない。経済的自由権対人身等に関する人権の見地

契約違反で争われた例は少ない

■行政指導

行政指導(事実行為)一種の学問用語として定義→行手法2条

行政作用法、生活保護法などの「指導」 必ずしもイコール行政指導ではない。

行政指導
1.規制的指導 私人にたいする活動の規制 ex.公共料金値上げの指導
規制法律の前段階の場合とそうでない場合がある。

2.助成的指導 メリットの付与→行政上の利益 e.農業における転作
サービスの提供は単なるメリットを与えるのではなく、行政目的に導くものである。

3.調整的指導 私人間の紛争の調停(調整) ex.建築調整

1〜3は重なることがある。ex.マンションを建設する会社に対し1の指導をし、マンション建設に反対する住民と会社の間の関係について3の指導をする。

行政指導のメリット

法律の根拠無しで柔軟に対応できる ∵事実行為なので。
【批判】法律の根拠がないとめちゃくちゃな指導がなされるのでは?←But行政指導は現実の変化に対応しやすい(また立法は現実についてこられない)

行政指導のデメリット

上記批判
不透明、中身もよく分からない
行政指導についての責任が不明確である
従わないのは自由なのだが、現実には無理である
行政指導を通じて私人と一体になってしまう(よくあること) cf.石油ヤミカルテル事件(役所のお墨付きによるカルテルの正当化)

→行政指導の透明化の確保がいる

行政指導と「法律による行政の原則」との関係の整理
1.組織法との関係 行政指導が、組織法上その範囲でなされることを要する(この意味で行政指導は組織法上の根拠を要する)。

2.法律の留保の原則(相手方の地位を一方的に変えるには、法律上の根拠を要する)

3.法律の優位の原則(法律に行政活動は違反してはならない)

4.指導の内容上の限界 行政指導は、相手方が放棄できる利益の制限であることを要する。

行政指導の形式 必ずしも書面によるというのではない→口頭もある(行政手続法はいずれも認める)→但し国民の側からすると、書面があったほうが望ましい。

行政手続法上、書面の交付を要求されればする必要あり

行政指導にかかわる救済方法
1.行政事件訴訟法→取消手続→理論上難しい

2.損害賠償→国家賠償法→場合により可能 「職務を行うについて」を幅広く解釈する。