■公務員試験過去問分析(契約総論2、危険負担等)

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■危険負担(国家公務員1種試験〔2003年〕)

危険負担に関する次の記述のうち、妥当のはどれか。

1) 中古住宅の売買契約において、契約締結の前日に落雷によって当該中古住宅が滅失していた場合には、危険負担における債権者主義により、売主は売買代金全額を請求することができる。

2) 請負契約の目的たる工事が注文者の責めに帰すべき事由で完成不能となった場合には、危険負担における債権者主義により、請負人は請負代金全額を請求することができ、注文者に対し如何なる義務も負わない。

3) 賃貸借の目的たる建物が隣家からの延焼により滅失した場合は、危険負担における債権者主義により、賃貸人は賃料全額を請求することができる。

4) 中古自動車の売買契約において、契約締結後に売主の責に帰すべき事由によって当該中古自動車が滅失した場合には、売主の債務不履行責任が問題になるのであって、危険負担の問題は生じない。

5) 請負契約の目的たる建築中の建物が落雷により滅失し、完成不能となった場合には、危険負担における債権者主義により、請負人は注文者に対して請負代金全額を請求することができる。

■解説

1) 誤り。この場合は、原始的不能により契約自体が無効となるので危険負担は問題にならず、契約締結上の過失が問題となる。つまり、売主に契約無効につき過失が認められる場合、買主は売主に損害賠償を請求できる。藤岡−磯村−浦河−松本『民法W』第3版補訂(2009年、有斐閣)18頁。

2) 誤り。請負人が代金金額全額を請求し得るという点は正しいが(536条2項)、工事中止により請負人が得た利益は注文者に返還する義務を負う(最判昭和52年2月22日)。前掲藤岡他176頁。

3) 誤り。この場合は「特定物に関する物権の設定又は移転を双務契約の目的とした場合」(534条1項)ではないので、債務者主義(536条1項)が適用になる。つまり賃貸人は賃料を請求できない。

4) 正しい。前掲藤岡他31頁。

5) 誤り。3)と同様の理由で請負人は請負代金を請求できない。

■解除(地方上級試験〔2008年〕)

民法に規定する契約の解除に関する記述として、通説にてらし、妥当なのはどれか。

1) 契約解除の意義は、債務者が契約上の債務を履行しないことで契約が債務不履行になった時に債権者を保護することにあるため、当事者間の契約によって解除権をあらかじめ留保することはできない。

2) 契約の解除は、契約を遡及的に消滅させるため、当事者間に原状回復義務を生じさせ、債務不履行による債権者の損害賠償請求権は消滅する。

3) 履行遅滞を理由として契約を解除するには、相当の期間を定めてその履行の催告を行うことが必要であり、期間の定めのない催告は一切無効である。

4) 契約の相手側が数人ある場合に契約の解除をするときは、そのうちの一人に対して解除の意思表示をすることで足り、その全員に対して解除の意思表示をする必要はない。

5) 定期行為にあたる契約において、当事者の一方が履行しないでその履行期を経過したときは、相手方は、その履行を催告することなく、直ちにその契約を解除することができる。

■解説

1) 誤り。当事者間の契約による解除権の行使(約定解除)も可能である。前掲藤岡他52頁。

2) 誤り。解除による契約の遡及的消滅直接効果説)と原状回復義務の説明は正しい(545条1項本文)。但し解除権を行使しても損害賠償の請求は可能である(545条3項)。

3) 誤り。契約の解除には、相当期間を定めた履行の催告が必要という点は正しいが(541条)、相当期間を定めない催告であっても無効になるわけではなく、このような催告の時点から相当期間を過ぎれば解除は可能である。前掲藤岡他43頁。

4) 誤り。この場合解除の意思表示は、相手側「全員に対してのみ」することができる(544条1項。解除の不可分性)。

5) 正しい。542条。