■公務員試験過去問分析(契約総論1、契約の成立等)

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■契約の成立(地方公務員上級試験〔1991年〕)

AはBに対し、「B所有の土地を5000万円で売ってくれないか」との申込の手紙を出した。この事例に関する次の記述のうち、妥当のはどれか。

1) Aの申込の手紙に承諾期間が定められていなかった場合には、AはいつでもBに対して申込を撤回することができる。

2) Aの申込の手紙に承諾期間が定められていた場合には、その期間内に承諾の通知が到達しなければ契約は成立しない。

3) Aの申込の手紙に承諾期間が定められていなかった場合には、Aが申込の撤回をしない限りBはいつまででも承諾して契約を成立させることができる。

4) Aの申込に対してBが、「5500万円なら売りましょう」と通知した場合、契約の重要な部分について合意があるからAB間の契約は成立する。

5) Aの申込の手紙の発信後到達前にAが死亡した場合、Bがその事実を知っていてもBがこれに応じて承諾の意思表示をすれば契約が成立する。

■解説

1) 誤り。この場合は、「申込者が承諾の通知を受けるのに相当な期間を経過するまでは、撤回することができない」(524条)。

2) 正しい。521条2項。

3) 誤り。この場合、「相当な期間」(524条)後申込者が申込の撤回を失念していた場合であっても、申込の効力は有効なままであるが、これについては申込の撤回が可能になってからさらに承諾のないまま相当期間が過ぎた場合、申込の効力がなくなると解されている。藤岡−磯村−浦河−松本『民法W』第3版補訂(2009年、有斐閣)20頁。

4) 誤り。この場合、Bの通知は新たな申込みをしたものとみなされるので(528条)、AがBの申込に対し承諾しなければ契約は成立しない。

5) 誤り。隔地者に対する意思表示は、表意者が申込の通知を発信後死亡しても「その効力を妨げられない」(97条2項)のが原則だが、これはBがA死亡の事実につき悪意の場合は適用がない(525条)。

■同時履行の抗弁権(国家公務員2種試験〔2009年〕)

同時履行に関するア)−オ)の記述のうち、妥当なもののみをすべてあげているものはどれか。ただし、争いのあるものは判例の見解による。

ア) 弁済と債権証書の返還は同時履行の関係にあるが、弁済と受取証書の交付は同時履行の関係にない。

イ) 双務契約の当事者の一方は、相手方から履行の提供があっても、その提供が継続されない限り、同時履行の抗弁権を行使することができる。

ウ) 家屋の賃貸借終了に伴う賃借人の家屋明渡義務と賃貸人の敷金返還義務とは、特別の約定がない限り、同時履行の関係にある。

エ) 土地の所有者Aが、第三者Cの詐欺によって当該土地をBに売却して移転登記を行ったが、Aが詐欺を理由に売買契約を取消した場合、Aの代金返還義務とBの移転登記抹消義務とは、同時履行の関係にある。

オ) AとBとの間で売買契約が締結された後、売主Aが代金債権を第三者Cに譲渡した場合、買主BのCに対する代金債務とAの引渡債務は同時履行の関係にある。

1) ア)、ウ)

2) イ)、オ)

3) ア)、ウ)、エ)

4) イ)、ウ)、エ)

5) イ)、エ)、オ)

■解説

ア) 誤り。弁済と「債権証書の返還」の関係は弁済が先履行となるが、「受取証書の交付」との関係は同時履行の関係にたつ。野村−栗田−池田−永田『民法V』第2版補訂(1999年、有斐閣)234−235頁。

イ) 正しい。最判昭和34年5月14日。

ウ) 誤り。判例は、敷金返還と賃借物の返還の同時履行を、賃借人は主張できないとする(最判昭和49年9月2日)。前掲藤岡他125頁。

エ) 正しい。最判昭和47年9月7日。前掲藤岡他30頁。

オ) 正しい。債務者Bが債権者Aに対していた抗弁は、Bが当該債権譲渡につき異議を留めない承諾をしない限り、Cに対しても主張し得る(468条1項本文)。前掲野村他193頁。

よって正解は5)となろう。