■公務員試験過去問分析(債権総論6、債権の消滅)

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■弁済(地方公務員上級試験〔1999年〕)

弁済に関する次の記述のうち、妥当のはどれか。

1) 弁済が有効に成立するには、債務者に弁済の意思を必要とするから、弁済の内容となる給付は法律行為に限られることになる。

2) 特定物の引渡を目的とする債務は、引渡しをなすべき時の現状において、これを引渡せばよい。

3) 特定物の引渡を目的とする債務は、債権発生当時の存在場所ではなく、引渡をなすべき時にそのものの存在している場所においてすれば足りる。

4) 弁済の費用は、原則として、債権者と債務者の双方が折半して負担すべきである。

5) 債権者があらかじめ受領を拒んだ場合、債務者は、口頭の提供だけでは足りず、一度、現実の提供を必ずしなければ債務不履行の責を免れない。

■解説

1) 誤り。弁済は、弁済意思を要しない準法律行為である。内田貴『民法V』初版(1996年、東大出版会)93頁。また給付は法律行為に限られるわけではない(絵を書く債務等。)

2) 誤り。483条。

3) 誤り。特定物の引渡を目的とする債務の弁済場所は、「債権発生当時特定物が存在していた場所」であり、それ以外の債務は「債権者の現在の住所」となる(484条)。野村−栗田−池田−永田『民法V』第2版補訂(1999年、有斐閣)218頁。

4) 誤り。弁済の費用は原則、債務者の負担となる(485条)。前掲野村他218頁。

5) 誤り。弁済の提供は原則「現実の提供」をしなければならないが、債権者があらかじめ受領を拒んでいる場合は、「口頭の提供」で足りる(493条)。前掲野村他219頁。

■相殺(地方公務員上級試験〔2009年〕)

相殺に関する次の記述のうち、妥当なものはどれか。

1) 時効消滅した債権の債権者は、その債権が消滅時効する以前に相殺適状にあった場合でも、その債権を自働債権として相殺することは認められない。

2) 同時履行の抗弁権が付着した債権について相殺を認めると、抗弁権を一方的に奪うこと結果になるので、そのような債権を受働債権として相殺することはできない。

3) 不法行為に基づく損害賠償請求権を受働債権として相殺することは認められていないが、これを自働債権として相殺することは認められる。

4) 相殺の意思表示は、当事者の一方から相手方に対して行われ、相対立する債権は相殺の意思表示が到達した時点において対当額で消滅する。

5) 債権が差押を禁止されたものであるときは、債権の満足が法律によって強制されていることから、これを相殺のために用いることは一切許されない。

■解説

1) 誤り。時効により消滅した債権が、消滅前に相殺適状にあった場合、その債権者はこれを自働債権として相殺をすることができる(508条)。いずれ相殺が可能であるということで債権の権利行使をしないままに時効期間が途過しがちであり、公平を図るという趣旨である。前掲野村他244頁。

2) 誤り。抗弁権の付着した債権を自働債権とした相殺は、当該債権の債務者が持つ抗弁権を一方的に奪うことになるので、認められていない。前掲野村他246頁。

3) 正しい。509条。不法行為者が被害者に対し有する債権(自働債権)により、被害者が不法行為者に対し有する損害賠償請求権(受働債権)を相殺してしまうと、損害賠償の現実的支払いによる被害者救済ができなくなるからである。前掲野村他247頁。

4) 誤り。相殺の効果は、相殺の時点や相殺の意思表示が到達した時点で生ずるのではなく、相殺適状の時点に遡って生じる(506条2項)。相殺の方法と、債権が対当額で消滅するという説明は正しい(506条1項、505条1項本文)。前掲野村他251−252頁。

5) 誤り。差押が禁止されている債権(給料、扶養金等)については、これを受働債権とした相殺が禁止されている(510条)。自働債権の場合は相殺が可能である。前掲野村他248頁。