■公務員試験過去問分析(債権総論5、債権譲渡)

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■債権譲渡(国家公務員2種試験〔2003年〕)

指名債権の譲渡に関する次の記述のうち、妥当のはどれか。

1) 連帯債務者指名債権が二重に譲渡され、確定日付のある各譲渡通知が同時に債務者に到達したときは、譲受人の一人から弁済の請求を受けた債務者は、同順位の譲受人が他に存在することを理由に、弁済の責を免れることができるとするのが判例である。

2) 指名債権は、法律または特約によって譲渡が禁止されている場合を除き、その性質を問わず、これを自由に譲渡することができる。

3) 指名債権の譲渡は、債権の譲渡人が当該債権の債務者に対して確定日付のある証書をもって当該譲渡についての通知を行うか、または債務者が確定日付のある証書をもって当該譲渡を承諾しなければ、その効力を生じない。

4) 譲渡禁止特約の付された指名債権の譲渡において、当該特約の存在を知りながら指名債権を譲り受けた者から、更にその指名債権を譲り受けた転得者が当該特約の存在を知らないときは、債務者は当該転得者に対して、譲渡禁止特約の存在を対抗できないとするのが判例である。

5) 指名債権の譲渡人が、当該債権を第三者に譲渡した旨を確定日付ある証書をもって債務者に通知したときは、当該債務者が当該譲渡人に対抗できた事由があったとしても、これをもって当該債権の譲受人に対抗することができない。

■解説

1) 誤り。判例は、この場合でも債務者は弁済の責を免れないとする(最判昭和55年1月11日)。この場合実際問題として、債務者は債権者が確知できないことを理由とした供託(494条)をするのが安全とされる。野村−栗田−池田−永田『民法V』第2版補訂(1999年、有斐閣)189−190頁。

2) 誤り。債務の性質上、債権譲渡が認められない場合もある(466条1項但書)。例えば画家に絵を描かせる債権は、債権者(絵を描かれる側)が変わると給付内容が全く変わってしまうので、譲渡性がないとされる。前掲野村他171頁。

3) 誤り。「債務者」に対する債権譲渡の対抗要件は、譲渡人から債務者への無方式の通知か債務者からの無方式の承諾で足りる。確定日付のある証書による必要はない。前掲野村他133−134頁。

4) 正しい。当事者間の内部的な譲渡禁止特約により善意の第三者を害するのは適当でないからである(466条2項但書)。前掲野村他172頁。

5) 誤り。債務者が、債権の譲渡人に対抗できた事由を譲受人に対抗できなくなるのは、債務者が債権譲渡につき異議を留めず承諾した場合である(468条1項)。前掲野村他186頁。

■債権譲渡(国家公務員2種試験〔2007年〕)

債権譲渡に関する次のア)−オ)の記述のうち、妥当なものをすべてあげているのはどれか。ただし、争いのあるものは判例の見解による。

ア) 債権譲渡は、同一性を保ちつつ債権を移転するものであるから、債権に付随している利息債権、違約金債権、保証債権、担保権などの権利や、債権に付着している同時履行の抗弁権は、当然に譲受人に移転する。

イ) 譲渡禁止の特約のある債権について転付命令を受けた差押債権者が、転付命令を受けた当時、当該特約の存在を知り、または重大な過失により当該特約の存在を知らなかった場合には、転付命令によってその債権を取得することはできない。

ウ) 譲渡禁止の特約のある債権について、譲受人が当該特約の存在を知って譲り受けた場合は、譲受人は当該債権を有効に取得することはできないが、その後、債務者が当該譲渡について承諾を与えたときは、譲渡の時にさかのぼって有効となるので、譲受人は当該債権を有効に取得することができる。

エ) 債権が二重に譲渡され、確定日付のある各譲渡通知が同時に債務者に到達したときは、譲受人の優劣は決し得ないから、債務者は譲受人の一人から弁済の請求を受けたときであっても、同順位の譲受人が他に存在することを理由として当該弁済の請求を拒絶することができる。

オ) 債権譲渡がされた当時、債務者が譲渡人に対してすでに反対債権を有していたのであれば、たとえ当該反対債権の弁済期が、譲渡された債権の弁済期よりも後であり、かつ、債権譲渡の通知がなされた後に到来するものであっても、両債権の弁済期が到来したときは、債務者は当該反対債権をもって譲受人に対して相殺を主張することができる。

■解説

ア) 正しい。前掲野村他192−193頁。

イ) 誤り。この場合466条2項の適用はなく、差押債権者は、その善意悪意に関係なく転付命令により債権を取得することができるというのが判例である(最判昭和45年4月10日)。私人が差押禁止財産を創出することは不適切であるというのがその理由の1つである。前掲野村他172−173頁。

ウ) 正しい。最判昭和52年3月17日である。

エ) 誤り。このような弁済拒絶を認めないのが判例である(最判昭和55年1月11日)。前掲野村他189−190頁。

オ) 正しい。相殺と差押についての無制限説を前提にした最判昭和50年12月8日である。前掲野村他185頁。