■公務員試験過去問分析(債権総論2、債権者代位権)

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■債権者代位権(地方上級試験〔2010年〕)

債権者代位権に関する次の記述のうち、妥当のはどれか。但し、争いのあるものは通説、判例による。

1) 債権者代位権は、裁判によって行使しなければならず、裁判外では行使することはできない。

2) 第三債務者は、債務者に対して有する抗弁を、代位行使する債権者に対しては抗弁として主張することができない。

3) 名誉棄損による慰謝料請求権は、一身専属的な権利であるため、その具体的な金額が当事者間において客観的に確定した場合であっても、債権者代位権の対象とはならない。

4) 債権者代位権の行使は、債権者が債務者の代理人としてそれを行使するものではなく、債権者が自己の名において債務者の権利を行使するものである。

5) 債権者が債務者に対して有する金銭債権に基づいて債務者の第三債務者に対する金銭債権を代位行使した場合には、直接、自己へ金銭の支払いを請求することができない。

■解説

1) 誤り。債権者代位権を裁判によって行使しなければならないのは、債権の期限が到来していない場合である(423条2項。但し保存行為の場合を除く)。野村−栗田−池田−永田『民法V』第2版補訂(1999年、有斐閣)87−88頁。

2) 誤り。債権者代位権の相手方は、債務者に対抗し得る抗弁を、代位権を行使する債権者に対しても対抗し得る(大判昭和9年5月22日)。前掲野村他92頁。

3) 誤り。債務者の一身専属権は、債権者代位権の対象にならない(423条1項但書)。慰謝料請求権も一身専属権であり債権者代位権の対象にならないが、「その具体的な金額が当事者間において客観的に確定した場合」は一身専属性を失い、債権者代位権の対象になるというのが判例である(最判昭和58年10月6日)。前掲野村他90頁、内田貴『民法V』初版(1996年、東大出版会)256頁。

4) 正しい。大判昭和9年5月22日である。前掲野村他91頁。

5) 誤り。代位行使の対象になっている債務者の権利が、物又は金銭の引渡を請求できるものであれば、代位債権者は自己にそれを引渡すよう請求することができる(大判昭和10年3月12日)。前掲野村他93頁。

■債権者代位権(国家公務員2種試験〔2005年〕)

債権者代位権に関する次の記述のうち、判例にてらし、妥当なのはどれか。

1) 遺留分減殺請求権は財産的権利であるから、権利行使の確定的意思を表示するなどの特段の事情のない限り、債権者代位権の対象となる。

2) 離婚の際の財産分与請求権は、協議あるいは審判等によって具体的内容が形成されるまでは、その範囲及び内容が不確定、不明確であるから、債権者代位権の対象とならない。

3) 債務者が他の債権者に対して負担する債務の消滅時効の援用権は、その行使を債務者の意思にゆだねるべき一身専属的権利であるから、債権者代位権の対象とならない。

4) 建物の賃借人は、建物の不法占拠者に対しては、直接に明渡を請求できるから、賃貸人に代位して明渡を請求することはできない。

5) 名誉棄損による損害賠償請求権は、金銭債権なので債権者代位権の対象となるが、被害者が死亡したときは、権利の性質上相続の対象とならないから、債権者代位権の対象とならない。

■解説

1) 誤り。遺留分減殺請求権は債権者代位権の対象にならないのが原則だが、「権利行使の確定的意思を表示するなどの特段の事情」があれば対象になるというのが判例である(最判平成13年11月22日)。

2) 正しい。最判昭和55年7月11日である。前掲野村他90頁、内田256頁。

3) 誤り。債務の消滅時効の援用は、債権者代位権の対象となる(最判昭和43年9月26日)。前掲野村他89頁。

4) 誤り。賃借人が占有権や賃借権に基づく妨害排除請求を取り得ない場合のために、賃借人が賃貸人の有する妨害排除請求権を代位行使するのを認めるのが判例である(債権者代位権の転用。大判昭和4年12月16日)。前掲野村他98頁。

5) 誤り。名誉棄損による損害賠償請求権は、具体的な金額が確定しない間は債権者代位権の対象にならない。また当該請求権は相続の対象になる(最判昭和58年10月6日)。前掲野村他90頁、内田256頁。