■公務員試験過去問分析(債権総論1、債務不履行)

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■債務不履行(地方上級試験〔2008年〕)

民法に定める債務不履行に関する記述として妥当のは、次のうちどれか。

1) 利息を支払べき債権において、債務者の利息の支払が1年以上延滞した場合、債権者が催告をしても債務者がその利息を支払わないときは、債権者はその利息を元本に組み入れることができる。

2) 金銭消費貸借契約において、当事者が履行の債務について期限を定めなかった場合、債務者は、債権者より履行の請求を受けたときから直ちに遅滞の責任を負う。

3) 建物の売買契約において、売買契約締結後引渡前に売主の過失により建物が焼失した場合、買主は引渡予定日が到来するまでは、当該売買契約を解除することができない。

4) 建物の売買契約において、売買契約が締結される前日に売主の過失により建物が火災で焼失していた場合、当該売買契約が成立することはないから、買主は売主に対して一切の損害賠償請求をすることはできない。

5) 債務者に債務不履行責任を問うためには、債務者に故意または過失があることが必要であるから、金銭債務の債務者は、債務の履行遅滞につき過失がない場合、不可抗力を理由として債務不履行責任を免れることができる。

■解説

1) 正しい。法定重利(複利)である(405条)。野村−栗田−池田−永田『民法V』第2版補訂(1999年、有斐閣)22頁。

2) 誤り。期限に定めのない債務の場合、債務者が履行の請求を受けた時が履行期になるというのが原則だが(412条3項)、消費貸借契約では催告をして相当期間の経過後履行期が到来することとされている(591条1項)。前掲野村他48頁。

3) 誤り。売主の過失により当該売買契約は履行不能になっているが、不能になっている以上履行期日を待つことは意味がないので、履行期日の到来を待たず買主は契約を解除し得る。前掲野村他51頁参照。

4) 誤り。この場合、引渡義務の原始的不能により契約は成立しないが、買主は、自己が契約締結に際して支出した費用等についての損害賠償を請求し得る(契約締結上の過失。但し売主の過失が必要である)。前掲野村他57−58頁。

5) 誤り。金銭債務には履行不能が存しない(419条3項)。支払のための現金が盗まれたりした場合でも、債務者は支払義務を免れ得ない。前掲野村他51頁。

■受領遅滞(地方上級試験〔1995年〕)

受領遅滞が生じた場合の法律効果に関する次の記述のうち、妥当なものはどれか。

1) 法定責任説、債務不履行説のいずれの説にたっても、債務者は契約を解除することができることになる。

2) 法定責任説、債務不履行説のいずれの説にたっても、債務者は債務不履行責任を免除されることになる。

3) 法定責任説、債務不履行説のいずれの説にたっても、債務者の損害賠償請求は認められないことになる。

4) 供託による債務の免除は、法定責任説に立てば認められるが、債務不履行説に立つと認められないことになる。

5) 受領遅滞後の不可抗力による履行不能の場合、法定責任説に立てば債権者が責任を負うことになるが、債務不履行説に立てば債務者が責任を負うことになる。

■解説

1) 誤り。債務不履行説は、受領遅滞を債権者の債務不履行と考えるので、債権者の帰責事由を要件とした債務者による解除を認める。法定責任説では債務者の解除は認められない。前掲野村他79頁。

2) 正しい。客観的な債務の履行はないものの、債務者には帰責事由がないので債務不履行責任を負わない点について両説に争いはない。前掲野村他77頁。

3) 誤り。法定責任説では債務者の損害賠償請求は認められないが、債務不履行説はこれを肯定する。前掲野村他78頁。

4) 誤り。この論点についての両説の対立とは関係なく、どの説をとろうとも債権者による弁済受領拒絶は供託原因となる(494条)。

5) 誤り。どちらの説に立とうとも、責任を負うのは債権者である。前掲野村他79頁参照。