■公務員試験過去問分析(担保物権、総論他)

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■担保物権の効力(国税専門官試験〔2009年〕)

担保物権の効力に関するア)−オ)の記述のうち、妥当なもののみをすべて挙げているのはどれか。

ア) 留置権には目的物を換価して優先弁済を受ける効力はないが、留置権者は、目的物から生ずる果実を収取し、他の債権者に先立って、これを自己の債権の弁済に充当することができる。

イ) 留置権には目的物を使用収益する収益的効力があり、債務者の承諾を得ずして、目的物を使用することができる。

ウ) 先取特権は、その目的物の滅失、損傷等によって債務者が受けるべき金銭その他の物に対しても行使することができるが、質権にはこのような物上代位は認められていない。

エ) 質権の設定は、債権者にその目的物を引き渡すことによって効力を生じ、動産質権者は、目的物を継続して占有しなければ、その質権をもって第三者に対抗することができない。

オ) 抵当権には目的物を換価して優先弁済を受ける効力があり、抵当権者はこのような優先弁済的効力を登記なくして第三者に対抗することができる。

1) ア)、エ)

2) ア)、オ)

3) イ)、ウ)

4) イ)、オ)

5) ウ)、エ)

■解説

ア) 正しい。留置権には優先弁済効力はないが、果実収取権は認められている(297条1項)。淡路−鎌田−原田−生熊『物権U』第2版(1994年、有斐閣)212、217頁。

イ) 誤り。留置権者は、債務者の承諾を得なければ、留置物を使用し、賃貸し、又は担保に供することができない(298条2項)。

ウ) 誤り。先取特権、質権共に物上代位が認められている(304、350条)。

エ) 正しい。動産質権設定契約は要物契約であり、債権者への目的物の引渡しにより効力を生じる(344条)。そして動産質権の対抗要件は目的物の占有継続である(352条)。

オ) 誤り。抵当権に優先弁済効力があるという点は正しいが(369条1項)、抵当権は物権なのでこれを第三者に対抗するには登記を要する。

よって1)が正解となろう。

■留置権(国家公務員2種試験〔1988年〕)

民法上の留置権に関する記述のうち、妥当なのはどれか。

1) 留置権は、一定の要件が存在すれば法律上当然に生ずる場合と、この要件が存在しなくても当事者の意思に基づいて生ずる場合とがある。

2) 留置権は、物について生じた債権が弁済されるまで、その物の引渡を拒絶しうる物権であることから、誰に対しても主張することができる。

3) 留置権は占有を成立要件とするが、占有する物が不動産である場合には、登記をしないと留置権を第三者に対抗することができない。

4) 留置権者が保管義務を怠った場合には、債務者は留置権の消滅を請求することができるが、この消滅請求権は形成権ではなく、留置権者に対して留置権消滅の承諾を求める請求権であるとするのが通説である。

5) 留置権を行使し、その目的物の引渡を拒むことは、被担保債権について催告、請求しなくとも当然に被担保債権の時効中断の効力を生ずる。

■解説

1) 誤り。留置権は、法律上当然成立する法定担保物権である。前掲淡路他210−211頁。

2) 正しい。この点が同時履行の抗弁権と異なる。前掲淡路他211−212頁。

3) 誤り。目的物の占有が、留置権の成立(295条)、存続(302条)、対抗要件であり、留置物が不動産であっても登記は不要である。前掲淡路他216頁。

4) 誤り。この消滅請求権(298条3項)は形成権であり、債務者の意思表示のみで留置権消滅の効果を生ずる。松阪・提要(第4版)239−240頁。

5) 誤り。留置権の行使は、債権の消滅時効の進行を妨げない(300条)。つまり留置権の行使に時効中断効はない。

■質権(国家公務員2種試験〔1991年〕)

質権に関する記述のうち、妥当なのはどれか。

1) 質権設定契約は要物契約であるので、目的物を現実に質権者に引き渡すことが必要であり、簡易の引渡や指図による占有移転によって質物を設定することはできない。

2) 質権者は被担保債権の履行を求めるのに必要な範囲でのみ質物の留置をなし得るのみであり、質物に転質権を設定する場合には質権設定者の承諾を必要とする。

3) 質権は物権の1つであり、その侵害に対しては物権的請求権が認められるから、動産質権者が第三者に質物の占有を奪われた場合は、質権に基づく返還請求権を行使することができる。

4) 質権は担保物権の1つである以上附従性を有するから、将来発生する不特定の債権を担保にするためにあらかじめ質権を設定することはできない。

5) 質権者が質権に基づき質物の引渡を拒むことは債権の請求それ自体ではないから、被担保債権の消滅時効は進行する。

■解説

1) 誤り。簡易の引渡や指図による占有移転による質権設定も可能だが、占有改定による設定は認められない(345条参照)。前掲淡路他229−230頁。

2) 誤り。質権設定者の承諾を得ないで転質する責任転質も認められている(348条)。

3) 誤り。質物の占有を喪失すると質権を第三者に対抗できなくなるので(352条)、質権に基づく返還請求は認められない。もし質物を奪われたのであれば、占有回収の訴えにより質物の返還を実現していくことになる。

4) 誤り。このような債権であっても質権設定は可能である。前掲淡路他232頁。

5) 正しい。350条、300条参照。