■公務員試験過去問分析(総則、代理−時効)

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■無効、取消(国家公務員2種試験〔2005年〕)

次の文章の空欄には、「無効」、「取消し」のいずれかが入る。それぞれ何個入るか(括弧内の数字は管理人が付した)。

(1)、(2)はいずれも法律効果の発生を阻止する制度である。(3)の法律行為は最初から効力が発生しないが、(4)は特定人の単独行為である(5)の意思表示によって初めて効果が消滅するという差違がある。また、(6)の行為は、追認によって効力を生じないが、取消し得べき行為は、取消権者の意思表示によって確定的に有効とすることができる。

しかし、いずれも法の目的を達成するための技術にすぎないのであるから、その区別は絶対的ではなく、多くの点で相対化している。例えば、錯誤の効果は(7) であるが、表意者自身が(8)を主張しない場合は、相手方や第三者も(9)を主張できない。また、詐欺による(10)の効果は善意の第三者に主張できないが、錯誤の場合も、第96条第3項や第94条第2項を類推する学説も存在する。 無効/取消

1) 3個/7個

2) 4個/6個

3) 5個/5個

4) 6個/4個

5) 7個/3個

■解説

1) 無効。

2) 取消。1)と2)は順不同である。無効、取消共に「法律行為の効果が発生しないことをいう」。山田−河内−安永−松久『民法T』第3版補訂(2007年、有斐閣)143頁。

3) 無効。

4) 取消。

5) 取消。無効の場合、法律行為や意思表示の効果は特定の行為を待たず効力がないが、取消の場合、取消権者が一定の期間内に一定の手続に基づき取消して初めて効力がなくなる。前掲山田他143頁。

6) 無効。119条参照。前掲山田他143頁。

7) 無効。95条本文。無効、取消の相対化については、前掲山田他144頁以下参照。

8) 無効。

9) 無効。最判昭和40年9月10日。

10) 取消。

正解は4)となろう。

■NEW 代理(国税専門官試験〔1991年〕)

代理に関する次の記述のうち、妥当なものはどれか。

1) 代理人が本人のためにすることを示さずに行なった意思表示は無効であり、本人または代理人に対し、効果を生じない。

2) 代理人は法律行為を行なうのであるから、行為能力が必要であり、未成年者、被保佐人は代理人になることはできない。

3) 現実の授権行為がないにもかかわらず、本人が他人に代理権を与えた旨を表示した場合には、相手方に過失があっても本人は責任を免れることはできないとするのが判例である。

4) 民法は、特定の法律行為の当事者双方の代理人となることを禁止しているが、当該代理人の行為につき、本人が事後に追認すれば、本人に対して効果が帰属する。

5) 代理権消滅後において、代理人の行なった行為については、本人に効果が帰属することはない。

■解説

1) 誤り。この場合は意思表示が無効になるのではなく、代理人とその相手方の間で契約等が成立することになる(100条本文)。

2) 誤り。代理人に行為能力は必要ではない(102条)。

3) 誤り。109条の表見代理は、相手方が代理人に代理権がないことにつき悪意、有過失の場合は成立しない。

4) 正しい。事前の同意、事後の同意で双方代理を有効にできる(108条但書)。前掲山田他170頁。

5) 誤り。112条の表見代理が成立する場合は、このような場合でも本人効果は帰属する。

■NEW 時効(国家公務員試験2種〔2011年〕)

時効に関するア)−オ)の記述のうち、判例に照らし、妥当なもののみをすべて挙げているのはどれか。

ア) 消滅時効を援用し得る者は、権利の消滅により直接利益を受ける者に限定されると解するべきところ、後順位抵当権者は、先順位抵当権者の被担保債権の消滅により直接利益を受ける者に当たるため、当該債権について消滅時効を援用することができる。

イ) 債務者が、消滅時効が完成した後に債務の承認をする場合には、その時効完成の事実を知っているのは異例で、知らないのが通常であるため、消滅時効完成後に当該債務の承認をした事実から、当該承認は時効が完成したことを知ってなされたものであると推定することは許されない。

ウ) 占有者は所有の意思で占有するものと推定されるため、当該占有が自主占有に当たらないことを理由に取得時効の成立を争う者は、当該占有が所有の意思のない占有に当たることについての立証責任を負う。

エ) 一個の債権の数量的な一部についてのみ判決を求める旨明示して訴訟が提起された場合であっても、当該債権全体の存否がその訴訟において判断されることになるため、訴え提起による消滅時効中断の効力は、その一部の範囲においてのみ生ずるものではなく、当該債権全体に及ぶ。

オ) 時効による債権消滅の効果は、時効期間の経過とともに、確定的に生ずるものであるため、時効期間の経過が明らかに認められるときは、当事者による時効の援用がなくとも、裁判所は、これを判決の基礎とすることができる。

1) ア)、エ)

2) ア)、オ)

3) イ)、ウ)

4) イ)、エ)

5) ウ)、オ)

■解説

ア) 誤り。時効の援用権者についての説明(145条参照)は正しいが、後順位抵当権者は、先順位抵当権の被担保債権の消滅時効を援用できないというのが判例である(最判平成11年10月21日)。前掲山田他228頁。

イ) 正しい。判例はかつて、消滅時効完成後に債務者が債務の承認をした場合、債務者が時効完成を知らなかったことを理由に時効を援用するのを防止するために、当該承認は時効完成を知ってなされたものと推定していたが、後に判例変更により、時効援用防止の理由づけとして信義則をあげるようになった(最大判昭和41年4月20日)。前掲山田他231頁。

ウ) 正しい。自主占有は推定されるので(186条1項参照)、他主占有であるということを主張する者がそれを立証しなければならない(最判昭和58年3月24日等)。前掲248頁。

エ) 誤り。判例は一部請求と時効中断の関係につき、一部請求である事が明示されている場合、残債権につき時効中断の効果は及ばず、明示されない場合は債権全部につき時効中断の効果が生じるとしている(最判昭和34年2月20日、最判昭和45年7月24日)。前掲山田他236頁。

オ) 誤り。時効による債権消滅の効果は、時効期間の経過とともに、確定的に生ずるものではなく、時効が援用されはじめて確定的に生ずるというのが判例である(最判昭和63年3月17日。不確定効果説)。前掲山田他223頁。

よって正解は3)となろう。

■時効(国税専門官試験〔2009年〕)

時効の援用に関するア)−エ)の記述のうち、判例に照らし、妥当なもののみをすべて挙げているのはどれか。

ア) XはYから借金をし、Xの友人Zが保証人となった。Xの債務の時効が完成した場合、Zは主たる債務者Xの意向とは無関係にその時効を援用することができる。

イ) XはYから借金をし、Xの友人Zが物上保証人となった。Xの債務の時効が完成した場合、Zは主たる債務者Xの意向とは無関係にその時効を援用することができる。

ウ) XはYから借金をし、その債務を担保するために自己の所有する不動産である甲に抵当権を設定し、その旨の登記をした後、Zに甲を売却した。Xの債務の時効が完成した場合、Zは主たる債務者Xの意向とは無関係にその時効を援用することができる。

エ) XがYに対して負う金銭債務の消滅時効の完成後に、Xが当該債務を承認した場合、承認した時点において時効完成の事実を知らなくても、信義則上、その後Xはその時効を援用することができない。

1) ア)、イ)、ウ)

2) ア)、イ)、エ)

3) ア)、ウ)、エ)

4) イ)、ウ)、エ)

5) ア)、イ)、ウ)、エ)

■解説

ア) 正しい。大判大正4年7月13日。前掲山田他227頁。

イ) 正しい。最判昭和42年10月27日。前掲山田他227頁。

ウ) 正しい。最判昭和48年12月14日。前掲山田他227頁。

エ) 正しい。最大判昭和41年4月20日。前掲山田他231頁。

よって正解は5)になろう。