■公務員試験過去問解説(行政法、行政事件訴訟法6)

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■取消訴訟の効力(国家公務員2種試験〔2002年〕)

取消訴訟の効力等に関する次の記述のうち、妥当なのはどれか。

1) 取消訴訟において、裁判所は、処分が違法ではあるがこれを取消すことにより公の利益に著しい障害を生じる場合には、原告の受ける損害の程度等の一切の事情を考慮して請求を棄却することができるが、この場合には、判決の主文において、処分が違法であることを宣言しなければならない。

2) 不許可処分の取消訴訟において、その取消を命じる判決が確定した場合には、行政庁がその処分を取消すまでもなく、許可がなされたのと同じ効果が生じる。

3) 取消判決が確定した場合でも、その判決の効力が訴訟の当事者以外の第三者に及ぶとすると当該第三者の利益が害されるおそれがあるから、原告は、取消判決の効力を被告行政庁に主張し得るのみで、当事者以外の第三者にその効力を主張することはできない。

4) 取消訴訟においては、公益の実現のために発動される行政行為が適法になされているかどうかという公益に関係することが問題となるから、原告は、いったん訴えを提起した以上、裁判所の許可なく当該訴えを取り下げることはできない。

5) 行政処分がなされると、それを前提に事実関係、事実状態が積み重ねられ、既に存在しているこれらを保護する必要があることから、取消判決が確定した場合には、取り消された行政処分の効力は将来に向かってのみ消滅し、遡及的には消滅しない。

■解説

1) 正しい。事情判決(行政事件訴訟法31条1項)である。

2) 誤り。この場合、行政庁は「判決の趣旨に従い、改めて申請に対する処分」「をしなければならない」(行政事件訴訟法33条2項)のであり、許可がなされたのと同様の効果が生まれるわけではない。塩野宏『行政法U』第6版(2019年、有斐閣)195頁以下、.櫻井敬子−橋本博之『行政法』第5版(2016年、弘文堂)314頁。

3) 誤り。「処分又は裁決を取り消す判決は、第三者に対しても効力を有する」(32条1項。第三者効)。

4) 誤り。訴えの取り下げについては、行政事件訴訟法上規定はないが、民事訴訟法261条1項を根拠に認められる(「行政事件訴訟に関し、この法律に定めがない事項については、民事訴訟の例による」〔行政事件訴訟法7条〕)。

5) 誤り。行政処分を取り消す判決には遡及効が認められる(形成力)。前掲塩野191頁、櫻井他311頁。