■公務員試験過去問解説(行政法、行政事件訴訟法2)

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■義務付けの訴え(国家公務員1種試験〔2006年〕)

義務付けの訴えに関するア)−オ)の記述のうち、妥当なもののみを全て挙げているのはどれか。

ア)  行政事件訴訟法第3条第6項第1号に掲げる場合に義務付けの訴えを提起することができるのは、一定の処分がされないことにより重大な損害を生じるおそれがあり、かつその損害を避けるため他に適当な方法がない時に限られ、裁判所が重大な損害を生ずるか否かを判断するに当たっては、損害の回復の困難の程度を考慮するものとし、損害の性質および程度ならびに処分の内容および性質をも勘案するものとされている。

イ) 行政事件訴訟法第3条第6項第1号に掲げる場合に提起する義務付けの訴えにおいては、行政庁がその処分をすべきことがその処分の根拠となる法令から明らかであると認められる場合に限り、裁判所は、行政庁に対して一定の処分をすべき旨を命じることができ、行政庁がその処分をしないことがその裁量権の範囲を超えまたはその濫用となると認められるにすぎない場合には、裁判所は、行政庁に対して一定の処分をすべき旨を命じることはできない。

ウ) 行政事件訴訟法第37条の3第1項第2号に掲げる場合に義務付けの訴えを提起するには、同号に規定する処分または裁決に係る取消訴訟または無効等確認訴訟の訴えを併合しなければならない。

エ) 行政事件訴訟法第37条の3第1項の義務付けの訴えのうち、行政庁が一定の裁決をすべき旨を命ずることを求めるものは、裁決についての審査請求がされた場合において、当該処分に係る処分の取消しの訴えまたは無効等確認の訴えを提起することができないことに限り、提供することができる。

オ) 行政事件訴訟法第3条第6項に掲げる義務付けの訴えが提起された場合において、その義務付けの訴えに係る処分または裁決がされないことに生ずる償うことのできない損害を避けるため緊急の必要があると認められるときは、裁判所は、申立ての有無にかかわらず、仮に行政庁が処分または裁決をすべき旨を決定により命ずることができる。

1) ア)、エ)
2) イ)、ウ)
3) ア)、イ)、オ)
4) ア)、ウ)、エ)
5) ウ)、エ)、オ)

■解説

ア) 正しい。行政事件訴訟法37条の2第1項、2項である。なお「第3条第6項第1号に掲げる場合」とは、「行政庁が一定の処分をすべきであるにかかわらずこれがされない」場合(非申請型)を指す。塩野宏『行政法U』第6版(2019年、有斐閣)249頁、櫻井敬子−橋本博之『行政法』第5版(2016年、弘文堂)331頁を指す。

イ) 誤り。「行政庁がその処分をしないことがその裁量権の範囲を超えまたはその濫用となると認められるにすぎない場合」も、一定の処分をすべき旨命じることは可能である(37条の2第5項)。

ウ) 正しい。37条の3第3項2号。「行政事件訴訟法第37条の3第1項第2号に掲げる場合」とは、申請につき拒否処分があった場合(申請型〔拒否処分型〕。前掲櫻井他336頁を指す。

エ) 正しい。37条の3第7項。要は、個別法により裁決主義が採られている結果、原処分の取消訴訟、無効等確認訴訟が提起できない場合にのみ、裁決の義務付けの訴えを用いることができるということである。前掲櫻井他337頁。

オ) 誤り。仮の義務付けをするには、ここでいう緊急性の他、義務付けの訴えにつき「本案について理由があるとみえる」(「本案訴訟において勝利するという見込み」(前掲櫻井他371頁)という要件が必要となる。また仮の義務付けには申立を要する。(37条の5第1項)。

よって正解は4)となろう。