■公務員試験過去問解説(行政法、行政事件訴訟法3)

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■処分性(国税専門官試験〔2009年〕)

行政事件訴訟の処分性に関するア)−オ)この記述のうち、判例に照らし、妥当なもののみを全て挙げているのはどれか。

ア) 森林法に基づく保安林指定および保安林指定の解除は、名あて人が具体的に特定されておらず、直接国民の権利義務を形成し、またはその範囲を確定するものとはいえないから、抗告訴訟の対象となる行政処分に当たらない。

イ) 土地区画整理法に基づく土地区画整理組合の設立の認可は、単に設立認可申請に係る組合の事業計画を確定させるだけのものではなく、その組合の事業施行地区内の宅地について所有権または借地権を有する者をすべて強制的にその組合員とする公法上の法人たる土地区画整理組合を成立せしめ、これに土地区画整理事業を施行する権限を付与する効力を有するものであるから、抗告訴訟の対象となる行政処分に当たる。

ウ) 市町村の施行に係る土地区画整理事業の事業計画の決定は、施工地区内の宅地所有者等の法的地位に変動をもたらすものであって、抗告訴訟の対象とするに足りる法的効果を有するものということができ、実効的な権利救済を図るという観点から見ても、これを対象とした抗告訴訟の提起を認めるのが合理的であるから、抗告訴訟の対象となる行政処分に当たる。

エ) 供託関係が民法上の寄託契約の性質を有することにかんがみると、供託事務を取り扱う行政機関である供託官のする行為は、もっぱら私法上の法律行為と解するのが相当であるから、供託官が弁済供託における供託金取戻請求を理由がないと認めて却下した行為は、抗告訴訟の対象となる行政処分に当たらない。

オ) 国有財産法上の国有財産の払下げは、売渡申請書の提出、これに対する払下許可という行政手続を経て行われる場合は、行政庁が優越的地位に基づいて行う公権力の行使ということができ、抗告訴訟の対象となる行政処分に当たる。

1) ア)、イ)
2) ア)、オ)
3) イ)、ウ)
4) ウ)、エ)
5) エ)、オ)

■解説

ア) 誤り。「保安林指定および保安林指定の解除」は「処分であることが当然の前提とされている」(塩野宏『行政法U』第5版〔2019年、有斐閣〕111頁。長沼ナイキ基地訴訟〔最判昭和57年9月9日〕)。

イ) 正しい。最判昭和60年12月17日。櫻井敬子−橋本博之『行政法』第5版(2016年、弘文堂)278頁。

ウ) 正しい。従来事業計画自体の処分性は否定されてきたが、(青写真論。最大判昭和41年2月23日)、判例変更により土地区画整理事業の処分性が認められるに至った(最大判平成20年9月10日)。前掲塩野112−113頁、櫻井他275−276頁。

エ) 誤り。弁済供託は、民法上の寄託契約の性質を有するが、供託物取戻請求の却下につき「特別の不服審査手続をもうけている」点をとらえ、当該却下行為に処分性を肯定するのが判例(最大判昭和45年7月15日)である。前掲塩野108頁、櫻井他269頁。

オ) 誤り。売渡申請書の提出、これに対する払下許可という行政手続を経る場合であっても、国有財産の払下げは私法上の行為に当たり処分性が否定されるというのが判例である(最判昭和35年7月12日)。前掲塩野107頁、櫻井他269頁。

よって正解は3)となろう。