■公務員試験過去問解説(行政法、行政事件訴訟法4)

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■原告適格(国家公務員試験2種〔2010年〕)

次の文章は、取消訴訟の原告適格について述べたものである。空欄A)−D)に入るものをア)−オから選んだ組み合わせとして、最も妥当なものはどれか。

行政処分の取消しを求めて出訴することのできる者について、行政事件訴訟法第9条第1項は、「当該処分(中略)の取消しを求めるにつき法律上の利益を有する者(中略)に限り、提起することができる」と定めている。そして「法律上の利益」の範囲について、学説では「法律上保護された利益説」(以下A説という)と、「法律上保護に値する利益説」(以下B説という)が対立している。

A説は、法律上保護された利益を行政処分により侵害された場合に出訴できるとする説である。「法律上の利益」の有無の判定は、(A)から考察を始めることになる。

これに対し、B説は、法律上保護された利益ではない事実上の利益でも、それが法的救済に値する利益であれば、これを侵害された場合出訴することができるとする説であり、この説によると、「法律上の利益」の有無の判定は、(B)に着眼して行うことになる。
両説の相違は、取消訴訟の本質の理解の違いに由来しているとされる。すなわち、A説は取消訴訟の目的を(C)にあるとみる。これに対し、B説は、取消訴訟の目的を(D)にあるとみる。

ア) 当該行政処分によって原告が受けた不利益の性質、程度など利害の実態
イ) 当該行政処分の根拠となる実定法の規定を解釈すること
ウ) 当該利害関係に対する原告の従来からの関心と関与状況
エ) 行政処分の適法性をめぐる紛争の解決を通じた国民の利益の救済
オ) 実定法の予定する権利ないし法益の保護

A B C D
1) ア イ エ オ
2) ア イ オ エ
3) イ ア エ オ
4) イ ア オ エ
5) ウ イ エ オ

■解説

A) イ)が入る。「法律上保護された利益説」は、原告適格の範囲を「被侵害利益を処分の根拠法規が保護しているかどうかで判断する」塩野宏『行政法U』第6版(2019年、有斐閣)132頁。

B) ア)が入る。A説に対し「法律上保護に値する利益説」は、原告適格の範囲を、「原告の利益が法律によって保護されたものに限定しない」(前掲塩野132頁)。よってB説では、本文にあるように事実上の利益でも足り得ることになる。

C) オ)が入る。国民の権利利益の保護に重点を置く、その意味で市民的法治国家原理に基づいた立場と言える。前掲塩野132−133頁。

D) エ)が入る。B説では、A説よりも法律上の利益が「広くとらえられる」ことになる(前掲塩野133頁)。

よって正解は4)になろう。なお判例は法律上保護された利益説をの立場をとる(前掲塩野133頁以下)。本問については櫻井敬子−橋本博之『行政法』第5版(2016年、弘文堂)280−281頁も参照。