■公務員試験過去問分析(行政組織法)

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■行政組織法(国家公務員試験1種〔2010年〕)

行政機関相互の関係に関するア)−オ)の記述のうち、妥当なもののみを全て挙げているのはどれか。

ア) 一般に、行政組織でおいては、組織内における意思統一を可能にするため、上級機関には下級機関に対する指揮監督権が認められるが、この指揮監督権は、明文の規定がなくても、上級機関に対して当然に認められるものである。

イ) 指揮監督権の内容として、上級機関には下級機関の事務処理に対して同意(承認)を行う権限が認められることがあるが、上級機関の同意(承認)が得られない場合、下級機関は、法律に特別の定めがあるときに限り、不同意(不承認)の取消しや同意(承認)の義務付けを求めて訴訟を提起することができる。

ウ) 下級機関が処分権限を行使しない場合に、上級機関がこれを代行(代執行)することは、明文の規定がなくても、上級機関の指揮監督権の実効性を担保するため、当然に認められる。

エ) 訓令は、下級行政機関を名あて人にするものであり、私人に対する拘束力を有するものではない。訓令に従って行政作用が行われても、そのことは当該行政作用が適法であることを保障するものではないし、訓令に違反して行政作用が行われても、そのことから直ちに当該行政作用が違法となるわけではない。

オ) 対等の行政機関の間で権限争議が発生した場合には、それらに共通の上級機関の裁定により処理されることとなる。 内閣法は、内閣総理大臣に主任の大臣相互間における権限争議の裁定権を付与しており、地方自治法も普通地方公共団体の長に当該普通地方公共団体に執行機関相互間における権限争議の裁定権を付与している。

1) ア)、イ)、エ)
2) ア)、イ)、オ)
3) ア)、ウ)、エ)
4) イ)、ウ)、オ)
5) ウ)、エ)、オ)

■解説

ア) 正しい。塩野宏『行政法V』第2版(2001年、有斐閣)36頁、櫻井敬子−橋本博之『行政法』第5版(2016年、弘文堂)40−41頁。

イ) 正しい。機関訴訟(行政事件訴訟法6、42条)である

ウ) 誤り。ここでいう代執行(代行)には、法律の根拠が必要である。上級行政機関による代執行を認めると、下級行政機関が有する権限を上級行政機関が行う結果、実質的な権限配分の変更になるからである。塩野宏『行政法V』第2版(2001年、有斐閣)37頁、前掲櫻井他41頁。

エ) 正しい。墓地埋葬通達事件(最判昭和43年12月24日)。なお行政の一体性を確保するため出される命令が「訓令」であり、それを書面化したものが「通達」とされている。 塩野宏『行政法T』第5版(2009年、有斐閣)102頁、前掲櫻井他67頁。

オ) 誤り。地方自治法にこのような定めはない。なお前半部分は正しい(内閣法7条)。塩野宏『行政法V』第2版(2001年、有斐閣)38頁、前掲櫻井他44頁。

よって正解は1)となろう。

■行政組織法(国家公務員試験2種〔2007年〕)

行政機関についての講学上の概念に関するア)−エ)の記述のうち、妥当なもののみを全て挙げているのはどれか。

ア) 行政庁とは、行政主体の意思または判断を決定し外部に表示する権限を有する機関をいい、各省大臣および都道府県知事は行政庁に該当するが、公正取引委員会や公害等調整委員会等の行政委員会は行政庁に該当しない。

イ) 諮問機関とは、行政庁から諮問を受けて意見を具申する機関をいい、諮問機関に対する諮問手続きが法律上要求されているのに、行政庁が諮問手続きを経ることなく行政処分をした場合であっても、行政庁の決定が違法となることはないとするのが判例である。

ウ) 執行機関とは、行政上の義務を国民が履行しない場合に強制執行をしたり、違法な状況を排除する緊急の必要がある場合に即時強制をするなど、行政目的を実現するために必要とされる実力行使を行う機関をいう。

エ) 監査機関とは、監査の対象となっている機関の事務や会計処理を検査し、その適否を監査する機関をいい、国の会計検査を行う会計検査院や地方公共団体の財務に関する事務の執行等を監査する監査委員が監査機関に該当する。

1) ア)
2) ア)、イ)
3) イ)、ウ)
4) ウ)、エ)
5) エ)

■解説

ア) 誤り。各省大臣のような独任制の行政庁の他、合議制をとる公正取引委員会等の委員会も、行政主体の意思等を決定しそれを外部に表示する権限を有する場合は、行政庁に該当する。石川敏行『初めて学ぶプロゼミ行政法』改訂版(2000年、実務教育出版)46頁。

イ) 誤り。諮問機関の諮問を経ることが法律上要求されているのに、行政庁がそれを経ず処分をした場合、当該処分は違法の評価を受ける。なお当該行政処分が、取消し得うべきものか無効になるのかは、別途考慮を要する。前掲石川184頁。

ウ) 正しい。警察官、収税官、自衛官等が執行機関に該当する。前掲櫻井他40頁、石川47頁。

エ) 正しい。

よって正解は4)となろう。