■公務員試験過去問解説(行政の各種行為形式3)

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■建築確認留保に関する諸問題(地方公務員試験上級〔1996年〕)

マンション建築を目的とする不動産業者Aによる建築確認申請に対して付近住民がこれを阻止しようとし、間に入ったB市が建築確認を留保して調整に乗り出している。この場合に関する次の記述のうち、妥当なものはどれか。

1) B市による行政指導としての建築確認の留保は、それ自体としては違法ではないが、Aが行政指導に従わないという意思を明確に示している場合には、それ以上行政指導を続けることはできない。

2) B市は、一定期間内に建築確認申講について諾否をする義務があるのであるから、Aは、一定期問経過後は確認があったものとみなして工事を開始することができる。

3) マンション建築について付近住民の同意が得られない以上、B市は、建築確認を留保して、住民の同意が得られるまでAに対する行政指導を継続することができる。

4) Aによる建築計画が、B市の定める宅地開発指導要綱に反する場合には、B市は、上水道の給水が公序良俗違反を助長するような事情の有無にかかわらず、指導要綱違反を理由として給水を拒否することができる。

5) B市が、Aによる建築計画はB市の定める建築指導要綱に反するとして、指導要綱に合致した計画に修正するよう行政指導を行った場合には、Aは、当該行政指導について取消訴訟を提起することができる。

■解説

1) 正しい。品川マンション事件(最判昭和60年7月16日)である。塩野宏『行政法T』第5版(有斐閣、2009年)206頁、櫻井敬子−橋本博之『行政法』第5版(2016年、弘文堂)142頁参照。行政手続法34条参照。

2) 誤り。ここで言う「一定期問経過後は確認があったもの」とみなし得る制度はないように思われる。

3) 誤り。1)にあるように、建築確認申請に対して住民が反対しているような状況がある場合、この対立を回避すべく行政が行政指導の手段により当該申請を留保すること自体は違法ではないが、不動産業者が行政指導に従わない意思を示した段階から、行政指導の続行は許されなくなる(最判昭和60年7月16日)。

4) 誤り。公序良俗違反という状況がないのに、上水道の供給を拒否することは認められないというのが判例である(最決平成1年11月8日、武蔵野マンション事件)。

5) 誤り。行政指導には処分性が認められないので(行政手続法2条6号参照)、行政指導は取消訴訟の対象とならない。前掲櫻井他140頁。