■公務員試験過去問解説(行政調査)

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■行政調査(国家公務員試験2種〔1990年〕)

行政機関の行う立入検査に関する次の記述のうち、妥当なものはどれか。

1) 相手方の意に反する立入調査については、法律または条例に根拠がなければ実施できないこととされている。

2) 立入検査については、いかなる場合でも司法官憲の発する令状が必要であるとするのが判例である。

3) 立入検査を実施するに際しては、検査の円滑な実施のためいかなる場合でも検査の日時、場所を事前に通知する必要がある。

4) 立入検査に対して相手方が正当な理由なく拒否した場合は、行政機関はいつでもその抵抗を実力で排除して検査を実施することができる。

5) 立入検査を実施するに際し、当該立入検査を許容する法律又は条例に定められた特定の行政目的などのための、情報収集および犯罪捜査を行うことができる。

■解説

1) 正しい。相手方の意に反する立入調査は、侵害留保説の見地からは自由の侵害であり、権力留保説の見地からは権力的作用といえるから、法律の根拠を要する。塩野宏『行政法T』第5版(有斐閣、2009年)259頁参照、櫻井敬子−橋本博之『行政法』第5版(2016年、弘文堂)156頁参照。

2) 誤り。行政調査に令状主義(憲法35条)の適用があるか。この点判例は、令状主義が刑事手続ばかりでなく行政手続にも適用の余地があるとしているが、所得税法の質問検査権に令状発布を要件としなくても、憲法35条に反しないとしている(川崎民商事件〔最大判昭和47年11月22日〕)。前掲塩野263頁、前掲櫻井他162頁。

3) 誤り。行政調査を行うにつき先立つ通知、通告等事前手続は、所得税法上の質問検査を行う上で当然に必要とされないとするのが判例である(荒川民商事件〔最決昭和48年7月10日〕)。前掲塩野263−264頁、櫻井他164頁。

4) 誤り。立入検査の拒否に対し、現行法上罰則が定められている場合が多いが(食品衛生法17、73条等)、この場合調査の実効性担保は専ら罰則によると解される。また罰則がない場合実力行使が許されるかどうかは個別法の解釈を要する。前掲塩野260頁。

5) 誤り。犯罪捜査は司法警察の作用であるから、立入検査としてこれをなすということは認められない。前掲塩野262頁、櫻井他163−164頁。