■公務員試験過去問解説(憲法、参政権等)

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■参政権(特別区〔2013年〕)

参政権に関する記述として、最高裁判所の判例に照らして、妥当なのはどれか。

1) 憲法は、国会議員の選挙制度の仕組みについての具体的な決定を国会の裁量にゆだねられていると解され、国外に居住していて国内の市町村の区域内に住所を有していない日本国民に国政選挙における選挙権の行使を認める制度の対象となる選挙を比例代表選出議員の選挙に限定することは、違憲とはいえない。

2) 戸別訪問が不正行為を助長するおそれがあるというのは、抽象的な可能性にとどまり、被訪問者の生活の平穏を害するという点は、制限を置くことによってその弊害を除くことができるので、戸別訪問を一律に禁止している公職選挙法の規定は、合理的で必要やむを得ない限度を超えており、憲法に違反する。

3) 憲法は立候補の自由について直接には規定していないが、立候補の自由も憲法の保障する基本的な人権の一つと解すべきであり、労働組合が、組合の方針に反して立候補しようとする組合員に対し、立候補を取りやめることを要求し、これに従わないことを理由に当該組合員を統制違反者として処分するのは、組合の統制権の限界を超えるものであり、違法である。

4) 選挙に関する犯罪により一定以上の刑に処せられた者に対して、選挙権を所定の期間停止することは、選挙権が主権者としての市民の主権行使の権利であるので、憲法に違反するが、被選挙権を所定の期間停止することは、被選挙権は選挙されうる資格ないし地位であるので憲法に反しない。

5) 選挙運動の総括主宰者だけでなく、組織的選挙運動管理者等が、買収等の悪質な選挙犯罪を犯し禁錮以上の刑に処せられたときに、候補者であった者の当選の無効や立候補の禁止という連座の効果を生じさせる公職選挙法の規定は、投票者の選挙権を侵害し、候補者の立候補の自由と被選挙権を侵害するものであり、憲法に違反する。

■解説

1) 誤り。在外国民の選挙権の行使を衆参両議院の比例代表選挙に限定する公選法の規定につき、このような限定的な選挙権の行使が許される「やむを得ないと認められる事由が存在せず、憲法15条1項違反としたのが判例である(最大判平成17年9月14日)。芦部信喜(高橋和之補訂)『憲法』第5版(2011年、岩波書店)255−256頁、佐藤幸治『日本国憲法論』(成文堂、2011年)398頁。

2) 誤り。判例は、戸別訪問の一律禁止(公職選挙法138条)を立法政策の問題として、立法府の裁量を強調することで合憲としている(最判昭和56年6月15日)。前掲芦部204頁、佐藤413頁。

3) 正しい。立候補をした組合員に対し、勧告または説得の域をこえ除名することは、許されない(最大判昭和43年12月4日)。前掲芦部212頁、佐藤377−378頁。

4) 誤り。判例は、選挙犯罪を理由とする選挙権被選挙権停止の処遇(公選法11条)につき合憲としている(最大判昭和30年2月9日)。前掲芦部253−254頁、佐藤381頁。

5) 誤り。判例は、いわゆる「連座制」(公選法251条の2、251条の3)につき、選挙の公明適正という極めて重要な法益の達成に必要かつ合理的な規制であるとしている(最判平成8年7月18日)。前掲芦部255頁。