■公務員試験過去問解説(憲法、裁判を受ける権利)

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■裁判を受ける権利(国家公務員1種試験〔2008年〕)

裁判を受ける権利に関するア)−エ)の記述のうち、妥当なもののみをすべて挙げているのはどれか。ただし、争いのあるものは判例の見解による。

ア) 日本国憲法は、法の下の平等を実現するために、日本国民のみならず外国人に対しても、政治権力から独立した公正な裁判を受ける権利を保障しており、その公正な裁判を実現するために、裁判における判決の公開を保障するとともに、裁判の審級制度として三審制を採用する旨を規定している。

イ) 憲法第32条は、何人も裁判所において裁判を受ける権利を奪われないと規定しているが、その趣旨は、憲法又は法律に定められた裁判所においてのみ裁判を受ける権利を有し、裁判所以外の機関によって裁判をされることはないことを保障しているとどまり、訴訟法で定める管轄権を有する具体的裁判所において裁判を受ける権利を保障したものとまではいえない。

ウ) 憲法第37条の保障する迅速な裁判を受ける権利は、単に迅速な裁判を一般的に保障するために必要な司法行政上の措置等をとるべきことを要請するにとどまり、個々の刑事事件について現実にその保障に反し、審理の著しい遅延の結果、被告人が迅速な裁判を受けられなかったとしても、これに対処すべき法令上の具体的規定が存しなければ、当該被告人に対する審理を打ち切ることができない。

エ) 憲法第32条に定める「裁判を受ける権利」の「裁判」は、紛争を公正に解決するにふさしい手続によってなされる民事事件及び刑事事件の裁判を指すものであり、行政事件の裁判については、その法的判断により公共政策の形成又は評価に影響を与えることが少なくなく、民事事件や刑事事件とは異なる弾力的な対応が要請されるから、ここでいう「裁判」には当たらない。

1) ア)、イ)
2) ア)、エ)
3) イ)
4) ウ)
5) ウ)、エ)

■解説

ア) 誤り。三審制は憲法上の制度ではない。なお外国人に対しても裁判を受ける権利が保障され、判決の公開が保障されているという点は正しい。芦部信喜(高橋和之補訂)『憲法』第5版(2011年、岩波書店)96、249頁。

イ) 正しい。最大判昭和24年3月23日。

ウ) 誤り。審理の著しい遅延の結果、被告人の権利が害せられたという異常な事態が生じた場合、これに対処すべき具体的な規定がない場合でも、37条により審理を打ち切る非常救済手段が許されるというのが判例である(高田事件〔最判昭和47年12月20日〕)。前掲芦部242頁。佐藤幸治『日本国憲法論』(成文堂、2011年)342頁。

エ) 誤り。司法概念が民事、刑事事件の裁判に限定されていた戦前と異なり、「行政事件の裁判もまた憲法32条の『裁判』に含まれる」(前掲芦部249頁)。前掲佐藤591頁。

よって正解は3)である。