■公務員試験過去問解説(憲法、刑事手続1)

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■適正手続の保障(国家公務員試験2種〔2009年〕)

法定手続の保障等に関するア)−エ)の記述のうち、判例に照らし、妥当なもののみをすべて挙げているのはどれか。

ア) 刑事裁判において、起訴された犯罪事実のほかに、起訴されていない犯罪事実をいわゆる余罪として認定し、実質上これを処罰する趣旨で量刑の資料に考慮し、そのため被告人を重く処罰することは憲法第31条等に反し許されないが、量刑のための一情状として、いわゆる余罪をも考慮することは、必ずしも禁ぜられるところではない。

イ) 憲法第31条の定める法定手続の保障は、直接には刑事手続に関するものであるが、財産や自由の剥奪ないし制限といった不利益は、行政処分によって課されることも十分あり得ることにかんがみると、行政手続にも刑事手続と等しく同条による保障が及び、その相手方に対し、事前の告知、弁解、防御の機会を与える必要がある。

ウ) 関税法において、同法定所の犯罪に関係のある船舶、貨物等が被告人以外の第三者の所有に属する場合においてもこれを没収する旨規定しながら、その所有者たる第三者に対し、告知、弁解、防御の機会を与えるべきことを定めておらず、また、刑事訴訟法その他の法令においても何らかかる手続に関する規定を設けていないときに、関税法の規定により第三者の所有物を没収することは、憲法第29条及び第31条に違反する。

エ) 刑罰法規があいまい不明確のゆえに憲法第31条に違反するかどうかは、通常の判断能力を有する一般人の理解において、具体的場合に当該行為がその適用を受けるかどうかの判断を可能ならしめるような基準が読み取れるかどうかによって決定され、罰則を伴う条例が、集団行進等について抽象的に「交通秩序を維持すること」とのみ定めているにすぎない場合は、その意味を一般人が理解することは困難であり、同条に違反する。

1) イ)
2) エ)
3) ア)、ウ)
4) ア)、エ)
5) イ)、ウ)

■解説

ア) 正しい。最判昭和42年7月5日。佐藤幸治『日本国憲法論』(成文堂、2011年)332頁。

イ) 誤り。成田新法事件(最大判平成4年7月1日)。行政手続は、刑事手続ではないという理由で31条の保障の枠外にあると判断すべきではないが、行政手続は刑事手続と性質を異にし多種多様であるから、行政手続につき事前の告知弁解等の機会を「常に」与える必要はない、というのが判例である。芦部信喜(高橋和之補訂)『憲法』第5版(2011年、岩波書店)237頁、前掲佐藤193頁。

ウ) 正しい。第三者所有物没収事件(最大判昭和37年11月28日)。前掲芦部236頁、佐藤332頁。

エ) 誤り。徳島市公安条例事件(最大判昭和50年9月10日)である。最高裁は「『交通秩序を維持すること』」について、一般人の判断能力をもってすれば秩序維持についての基準を読み取ることは可能であり、この「『交通秩序を維持すること』」の文言は立法措置として妥当性を著しく欠くとしつつ、明確性に欠けることはないとしている。前掲芦部198頁、佐藤259頁。

よって正解は3)となろう。