■公務員試験過去問解説(憲法、教育を受ける権利)

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■教育を受ける権利(特別区〔2004年〕)

日本国憲法に規定する教育を受ける権利または学問の自由に関する記述として、判例、通説に照らして、妥当なのはどれか。

1) 教育を受ける権利を実質化するための義務教育の無償について、その範囲には、授業料を徴収しないことだけでなく、教科書の無償配布も含まれる。

2) 最高裁判所の判例では、普通教育における国の教育内容の決定権を必要かつ相当と認められる範囲内で肯定する一方、学問の自由に含まれる教授の自由について、普通教育の場においても教師に一定の範囲内で保障されるとした。

3) 最高裁判所判例では、高等学校の学習指導要領は法的拘束力を持つが、教科書の決定は教師の教育の自由に属するので、高等学校の教師は所定の教科書を使用する義務がないとした。

4) 最高裁判所の判例では、教育を受ける権利の背後に、子供がその学習要求を充足するための教育を自己に施すことを大人一般に要求する権利を有するとの概念が存在するとまでは認められないとした。

5) 教育を受ける権利は、教育の機会均等を意味し、各人の適性や能力の違いによって異なった内容の教育をすることは一切許されない。

■解説

1) 誤り。ここでいう「義務教育の無償」(26条2項参照)とは、授業料不徴収を意味する(最大判昭和39年2月26日)。芦部信喜(高橋和之補訂)『憲法』第5版(2011年、岩波書店)2662−67頁、佐藤幸治『日本国憲法論』(成文堂、2011年)372頁。

2) 正しい。旭川学テ事件(最大判昭和51年5月21日)である。判例は、教育権の所在についての国家教育権説、国民教育権説両方共に「極端かつ一方的」であるとしつつも、結果広範な国の介入権を肯定し、学テを適法とした。また、限定的ながら普通教育における教授の自由も肯定した。前掲芦部266頁、前掲佐藤370頁。

3) 誤り。判例は、高等学校の教師に所定の教科書を使用する義務があるとした(伝習館高校事件〔最判平成2年1月18日〕)。なお学習指導要領が法的拘束力を有するという点は正しい。前掲佐藤371頁。

4) 誤り。憲法26条の背後に子供の学習権、即ち子供の「学習要求を充足するための教育を自己に施すことを大人一般に対して要求する権利」があることを認めるのが判例(旭川学テ事件)である。前掲芦部264−265頁、前掲佐藤369頁。

5) 誤り。「すべて国民は、法律の定めるところにより、その能力に応じて、ひとしく教育を受ける権利を有する」(26条1項)。