■公務員試験過去問解説(憲法、経済的自由権2)

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■居住、移転の自由(国家総合職〔2013年〕)

居住、移転の自由等に関するア)−エ)の記述のうち、判例に照らし、妥当なもののみを全て挙げているのはどれか。

ア) 憲法第3章の諸規定による基本的人権の保障は、権利の性質上日本国民のみをその対象としていると解されるものを除き、我が国に在留する外国人に対しても等しく及び、居住・移転の自由との関係では、我が国に在留する外国人に居住地に関する登録義務を課すことは、公共の福祉のための制限として許容されるものではない。

イ) 国際慣習法上、外国人の入国を認めるか否かは各国が自由裁量に委ねられるとされており、居住・移転の自由を保障する憲法第22条第1項も日本国内における自由を保障する旨を規定したものであって、同項は外国人に日本への入国の自由を保障するものではない。

ウ) 憲法第22条第2項は我が国に在留する外国人の出国の自由を認めているところ、日本国民が外国へ一時旅行することが同項によって保障されているのと同様、出国の自由を認めている以上は、我が国に在留する外国人の再入国の自由も同項によって保障されていると解すべきである。

エ) 憲法第22条第2項の外国に移住する自由には外国へ一時旅行する自由も含まれるが、海外渡航に際し旅券所持を義務づける旅券法が「著しくかつ直接に日本国の利益又は公安を害する行為を行う虞があると認めるに足りる相当の理由がある者」に対して外務大臣が旅券の発給を拒否することができると定めていることは、公共の福祉のための合理的な制限として許容される。

1) ア)
2) ア)、エ)
3) イ)、ウ)
4) イ)、エ)
5) ウ)、エ)

■解説

ア) 誤り。判例は、ここでいう登録義務を命じ、またこの違反に対し処罰する旨を規定したとしても22条1項違反にはならないとしている(最大判昭和28年5月6日)。なお前半部分は正しい(マクリーン事件〔最大判昭和53年10月4日〕)。前掲芦部92、96−97頁、佐藤144頁。

イ) 正しい。最大判昭和32年6月19日である。「入国の自由が外国人に保障されないことは、今日の国際慣習法上当然であると解するのが通説・判例」(前掲芦部94頁)である。前掲佐藤142−143頁。

ウ) 誤り。在留外国人には外国へ一時旅行する自由や再入国の自由は保障されないというのが判例である(森川キャサリーン事件〔最判平成4年11月16日〕)。なお憲法22条2項が、外国人にも出国の自由を保障しているという点は正しい(最大判昭和32年12月25日)。前掲芦部95−96頁、佐藤143頁。

エ) 正しい。帆足計事件(最大判昭和33年9月10日)である。前掲芦部224頁、佐藤298−299頁。

正解は4)のイ)、エ)となろう。