■公務員試験過去問解説(憲法、表現の自由2)

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■報道の自由(国家公務員試験2種〔2004年〕)

報道の自由等に関するア)−オ)の記述のうち、判例に照らし、妥当なもののみをすべて挙げているのはどれか。

ア) 人格権としての名誉権に基づく出版物の印刷、製本、販売、頒布等の事前差止めは、当該出版物が公務員又は公職選挙の候補者に対する評価、批判等に関するものである場合には、原則として許されず、その表現内容が真実でないか又は専ら公益を図る目的でものでないことが明白であって、かつ、被害者が重大にして著しく回復困難な損害を被る恐れがあるときに限り、例外的に許される。

イ) 報道機関の活動が、公判廷における審判の秩序を乱し、被告人その他訴訟関係人の正当な利益を不当に害することはもとより許されないが、カメラマンが公判開始後に法廷内の写真撮影を行ったとしても、訴訟の運営を妨げる恐れはないから、当該撮影行為は取材の自由の範囲内である。

ウ) 刑法第230条の2の規定は、個人の名誉の保護と正当な言論の保障との調和を図ったものとされるが、新聞発行人がその発行する新聞において適示した事実につき真実であることの証明がない場合は、同人において真実であると誤信していたとしても、名誉毀損罪の刑責を免れることはできない。

エ) 憲法第21条は、新聞記者に対し、その取材源に関する証言を拒絶し得る特別の権利までも保障したものではないが、報道機関にとって、情報提供者との信頼関係を保護し将来における取材の自由を確保することは必要不可欠であるから、刑事訴訟法が規定が類推適用され、新聞記者には刑事裁判における取材源の秘匿が認められている。

オ) 報道機関の取材ビデオテープが悪質な被疑事件の全容を解明する上で重要な証拠価値を持ち、他方、当該テープが被疑者らの協力によりその犯行場面等を撮影収録したものであり、当該テープを編集したものが放映済みであって、被疑者らにおいてその放映を了承していたなどの事実関係の下においては、当該テープに対する捜査機関の差押処分は、憲法第21条に反しない。

1) ア)、ウ)
2) ア)、オ)
3) イ)、エ)、オ)
4) ウ)、エ)
5) ウ)、オ)

■解説

1) 正しい。北方ジャーナル事件(最大判昭和61年6月11日)である。芦部信喜(高橋和之補訂)『憲法』第5版(2011年、岩波書店)191−192頁。佐藤幸治『日本国憲法論』(成文堂、2011年)257−258頁。

イ) 誤り。「公判廷における写真の撮影等は、その行われる時、場所等のいかんによつては」、「被告人その他訴訟関係人の正当な利益を不当に害する」という「好ましくない結果を生ずる恐れがあるので」、撮影等を裁判所の許可(刑事訴訟規則215条)に係らせることは憲法に反せず、当該許可なくかつ裁判長の命令に反して行われた、公判開廷中の被告人を撮影する行為は法廷等の秩序維持に関する法律(2条1項)に違反し、この法律に基づいて科せられた制裁は憲法に反しない、というのが判例(北海タイムス事件。最大決昭和33年2月17日)である。前掲芦部343頁、佐藤276頁。

ウ) 誤り。「適示した事実」について真実性の証明ができなかった場合でも、「行為者が真実であると誤信し、それが確実な資料、根拠に照らして相当の理由があるときは、罪は成立しない」というのが判例である(『夕刊和歌山時事事件』。最大決昭和44年6月25日)。前掲芦部184−185頁、佐藤265−266頁。

エ) 誤り。憲法21条は、新聞記者に取材源に関し証言を拒否し得る特別の権利まで保障しておらず、証言拒絶について定める刑事訴訟法149条を新聞記者に類推適用できないことはいうまでもない、というのが判例である(石井記者事件。最大判昭和27年8月6日)。前掲芦部179頁、佐藤278頁。なお嘱託証人尋問証言拒否事件(最決平成18年10月3日)も参照。前掲芦部180頁、佐藤279頁。

オ) 正しい。TBSビデオテープ差押事件(最決平成2年7月9日)である。前掲芦部178頁、佐藤280頁。

よって正解は2)となろう。