■公務員試験過去問解説(憲法、表現の自由4)

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■集会、結社の自由(国家公務員一般職試験〔2013年〕)

集会、結社の自由に関する次の記述のうち、判例に照らし、妥当なのはどれか。

1) 空港建設に反対する集会の開催を目的とした公の施設(市民会館)の使用許可申請を不許可にした処分に関し、市の市民会館条例が不許可事由として定める「公の秩序をみだすおそれがある場合」とは、集会の自由を保障することの重要性よりも、集会が開かれることによって、人の生命、身体又は財産が侵害され、公共の安全が損なわれる危険を回避し、防止することの必要性が優越する場合をいうものと限定して解すべきであり、その危険性の程度としては、単に危険な事態を生ずる蓋然性があるというだけでは足りず、明らかな差し迫った危険の発生が具体的に予見されることが必要である。

2) デモ行進は、思想、主張、感情等の表現を内包するものであるが、純粋の言論と異なって、一定の行動を伴うものであり、その潜在的な力は、甚だしい場合には一瞬にして暴徒と化すことが群集心理の法則と現実の経験に徴して明らかであるから、表現の自由として憲法上保障される要素を有さず、デモ行進の自由は、憲法第21条第1項によって保障される権利とはいえない。

3) 集団行動の実施について、都道府県の公安条例をもって、地方的状況その他諸般の事情を十分考慮に入れ、不測の事態に備え、法と秩序を維持するのに必要かつ最小限度の措置を事前に講じることはやむを得ないから、公安委員会に広範な裁量を与え、不許可の場合を厳格に制限しない、一般的な許可制を定めて集団行動の実施を事前に抑制することも、憲法に違反しない。

4) 市の公安条例が集団更新についての遵守事項の1つとして「交通秩序を維持すること」と規定している場合、当該規定は、抽象的で立法措置として著しく妥当性を欠くものであるが、集団更新を実施するような特定の判断能力を有する当該集団行進の主催者、指導者又は扇動者の理解であれば、具体的場合に当該行為がその適用を受けるものかどうかの判断を可能ならしめる基準が読みとれるから、憲法に違反しない。

5) 結社の自由や団結権に基づいて結成された団体は、その構成員に対し、その目的に即して合理的な範囲内での統制権を有するから、地方議会議員の選挙に当たり、労働組合が、統一候補以外の組合員で立候補しようとする者に対し立候補を思いとどまらせる勧告又は説得の域を超え、立候補を取りやめることを要求し、これに従わないことを理由にその組合員を統制違反者として処分することも、組合の統制権の範囲内の行為として許される。

■解説

1) 正しい。泉佐野市民会館事件(最大判平成7年3月7日)である。事案としては、本件における不許可処分につき、違憲、違法性(地方自治法244条参照)を認めなかった。芦部信喜(高橋和之補訂)『憲法』第5版(2011年、岩波書店)206−208頁、佐藤幸治『日本国憲法論』(成文堂、2011年)287−288頁。

2) 誤り。東京都公安条例事件(最大判昭和35年7月20日)である。判例は、デモ行進のような「集団行動には、表現の自由として憲法によつて保障さるべき要素が存在する」としており、デモ行進が憲法上保障されていないとまでは言っていない。なおこの判例には、許可基準が明確でない等問題点の多い都公安条例を合憲とした点で、3)の新潟県公安条例事件判決と比べて、強い批判が向けられた。前掲芦部210頁、佐藤284−285、291頁。

3) 誤り。新潟県公安条例事件(最大判昭和29年11月24日)である。判例は、集団行動につき「一般的な許可制を定めてこれを事前に抑制することは、憲法の趣旨に反し許されない」としている。そもそも許可制とは、「許可を受けなければ当該行為を行うことができないという禁止の網を一般的にかぶせておき」、当該行為を行わせても障害が生じない特定の場合に「個別的に禁止を解除して当該行為を行うことを許す処分を行う」(前掲芦部209−210頁)というものだが、この一般的な禁止の網をかぶせることは「集団行動それ自体はまったく自由」(前掲芦部209頁)という原則に反するため、一般的な許可制は許されないという結論になる。なお前掲佐藤289頁以下。

4) 誤り。徳島市公安条例事件(最大判昭和50年9月10日)である。判例が問題とした「基準を読み取る」主体は、「通常の判断能力を有する一般人」である。前掲芦部198頁、佐藤259頁。

5) 誤り。結社の自由や団結権に基づいた団体は、内部統制権を有するもののそれは無条件ではない。判例は、ここで言う勧告又は説得の域を超え、それに従ないことを理由とした処分(除名)を違法であるとした(最大判昭和43年12月4日)。立候補の自由(15条1項)との関係に注意。前掲芦部212頁、佐藤377−378頁。