■公務員試験過去問解説(憲法、学問の自由)

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■学問の自由(国家公務員2種試験〔2008年〕)

学問の自由及び教育を受ける権利に関するア)−オ)の記述のうち、判例に照らし、妥当なもののみをすべて挙げているのはどれか。

ア) 憲法第26条の規定の背後には、国民各自が、一個の人間として、また、一市民として、成長、発達し、自己の人格を完成、実現するために必要な学習をする固有の権利を有すること、特に、自ら学習することのできない子どもは、その学習要求を充足するための教育を自己に施すことを大人一般に対して要求する権利を有するとの観念が存在していると考えられる。

イ) 子どもの教育は、親を含む国民全体の共通の関心事であり、公教育制度は、このような国民の期待と要求に応じて形成、実施されるべきものであるが、憲法の採用する議会制民主主義の下では、国民全体の意思の決定は国会において行われることができ、また、教育行政機関も、法律の授権に基づく限り、広くこれらの事項について決定権限を有する。

ウ) 憲法はすべての国民に対しその保護する子女をして普通教育を受けさせることを義務として定めているのであるから、国が保護者の教育費用の負担を軽減するよう配慮、努力することは望ましいところであるが、それは国の財政等の事情を考慮して立法政策の問題として解決すべき事柄であって、授業料を徴収するか否かを含め、義務教育の費用をどの範囲まで無償とするかは、専ら法律の定めるところに委ねられる。

エ) 教師の教育の自由については、憲法第23条が保障する学問の自由から導き出されるものであるが、子どもの教育は、教師と子どもとの間の直接の人格的接触を通じ、子どもの個性に応じて弾力的に行わなければならないという教育の本質的要請に照らせば、知識の伝達と能力の開発を主とする普通教育の場においても、大学における教授の自由と同程度の教授の自由が認められる。

オ) 大学の学問の自由と自治は、直接には教授その他の研究者の研究、その結果の発表、研究結果の教授の自由とこれらを保障するための自治とを意味すると解され、これらの自由と自治の効果として、大学の施設が大学当局によって自治的に管理され、学生も学問の自由と施設の利用を認められる。

1) ア)、エ)
2) ア)、オ)
3) イ)、ウ)
4) イ)、エ)
5) ウ)、オ)

■解説

ア) 正しい。旭川学テ事件(最大判昭和51年5月21日)である。芦部信喜(高橋和之補訂)『憲法』第5版(2011年、岩波書店)266−249頁、佐藤幸治『日本国憲法論』(成文堂、2011年)佐藤369頁。

イ) 誤り。本肢で述べられているのは国家教育権説であるが、前述旭川学テ事件判決は、国家教育権説と、もう一方の国民教育権説を「いずれも極端かつ一方的」と批判する。

ウ) 誤り。判例は、26条2項の「義務教育は、これを無償とする」について、授業料不徴収を意味すると解している(最大判昭和39年2月26日)。つまり授業料徴収か不徴収かは、法律に委ねられているわけではない。前掲芦部266頁、佐藤372頁。

エ) 誤り。普通教育においては、大学における教授の自由と「同程度」の教授の自由まで認められるわけではない(前述旭川学テ事件判決)。前掲芦部165頁、佐藤242頁以下

オ) 正しい。ポポロ劇団事件(最大判昭和38年5月22日)である。前掲芦部167頁以下、佐藤245頁。

よって正解は2)である。