■公務員試験過去問分析(憲法、信教の自由2)

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■信教の自由(特別区〔2012年〕)

日本国憲法に規定する信教の自由又は政教分離の原則に関する記述として、最高裁判所の判例に照らして、妥当なのはどれか。

1) 法令に反して著しく公共の福祉を害すると明らかに認められる行為をした宗教法人について、宗教法人法の規定に基づいて行われた解散命令は、信者の宗教上の行為の継続に支障を生じさせ、実質的に信者の信教の自由を侵害することとなるので、憲法に違反する。

2) 憲法は、内心における信仰の自由のみならず外部的な宗教的行為についてもその自由を絶対的に保障しており、宗教的行為としての加持祈祷が、他人の生命身体等に危害を及ぼす違法の有形力の行使に当たり、その者を死に致したとしても、信教の自由の保障の限界を逸脱したものとまではいえない。

3)  信教の自由には、静謐な宗教的環境の下で信仰生活を送るべき法的利益の保障が含まれるので、殉職自衛隊員を、その妻の意思に反して県護国神社に合祀申請した行為は、当該妻の、近親者の追慕、慰霊に関して心の静謐を保持する法的利益を侵害する。

4) 県が、神社の挙行した例大祭に際し、玉串料、献灯料検討料又は供物料をそれぞれ県が公金から支出して神社へ奉納したことは、玉串料等の奉納が慣習化した社会的儀礼にすぎないものであり、一般人に対して県が特定の宗教団体を特別に支援している印象を与えるものではなく、また、特定の宗教への関心を呼び起こすものとまではいえないので、憲法の禁止する宗教的活動には当たらない。

5) 市が、戦没者遺族会所有の忠魂碑を公費で公有地に移設、再建し、その敷地を同会に無償貸与した行為は、忠魂碑と特定の宗教とのかかわりは希薄であり、同会は宗教的活動を本来の目的とする団体ではなく、市の目的は移設後の敷地を学校用地として利用することを主眼とするものであるから、特定の宗教を援助、助長、促進するとは認められず、憲法の禁止する宗教的活動にあたらない。

■解説

1) 誤り。判例は、当該解散命令により、解散命令を受けた宗教法人に属する信者の宗教上の行為に支障が生じても、それは解散命令に伴う間接的、事実上のものにすぎず、必要でやむを得ない規制であるとしている(最決平成8年1月30日)。芦部信喜(高橋和之補訂)『憲法』第5版(2011年、岩波書店)155頁、佐藤幸治『日本国憲法論』(成文堂、2011年)231頁。

2) 誤り。宗教的行為の自由は、信仰の自由と異なり一定の制約に服する。前掲芦部153頁。判例は、当該加持祈祷行為につき信教の自由の保障を逸脱した反社会的行為としている(加持祈祷事件〔最大判昭和38年5月15日〕)。前掲佐藤227頁。

3) 誤り。自衛官合祀拒否訴訟(最大判昭和63年6月1日)である。最高裁は肢の見解(原審。広島高判昭和57年6月1日)が肯定した静謐な宗教的環境の下で信仰生活を送る利益につき、「直ちに法的利益として認めることができない」とした。前掲芦部159−160頁、佐藤236−237頁。

4) 誤り。判例は、玉串料の奉納につき社会的儀礼性を否定、宗教的意義を肯定し、県が特定の宗教団体とだけ特別のかかわり合いを持つに至った結果、一般人に靖国神社は特別なものとの印象を与え、特定の宗教への関心を呼び起こしたとして、当該公金支出行為は憲法の禁止する宗教的活動にあたるとした(愛媛玉串料訴訟〔最大判平成9年4月2日〕)。前掲芦部161−162頁、佐藤238頁。

5) 正しい。箕面忠魂碑訴訟(最判平成5年2月16日)。前掲芦部159頁、佐藤237頁。