■公務員試験過去問分析(憲法、幸福追求権2)

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■幸福追求権(国家公務員試験1種〔2011年〕)

憲法第13条に関するア)−オ)の記述のうち、判例に照らし、妥当なもののみをすべて挙げているのはどれか。

ア) 個人は他者から自己の欲しない刺激によって心の静謐を乱されない利益を有しているところ、この利益は、人格的利益として現代社会において重要なものであるから、憲法第13条によって保障される包括的な人権としての幸福追求権に含まれ、精神的自由形の一つとして憲法上優越的な地位を有する。

イ)  医師が、医療水準に従った相当の手術をしようとすることは、人の生命及び健康管理すべき業務に従事する者として当然のことであるということができる。したがって、患者が、輸血を受けることは自己の宗教上の信念に反するとして、輸血を伴う医療行為を拒否するとの明確な意思を有してる場合であっても、このような意思決定をする権利は、人格権の一内容として尊重されなければならないものでもない。

ウ) バイクに乗る自由は、社会通念上合理的なものである限り、憲法第13条によって保障される幸福追求権の一部をなす自己決定権として尊重されるが、バイクについてのいわゆる「三ない原則(免許を取らない、乗らない、買わない)」を定める私立高校の校則は、同条に反するものではない。

エ) 国の重要な財政収入である酒税の徴収を確保するため、租税目的のいかんを問わず、酒類製造を一律に免許の対象とした上、免許を受けないで酒類を製造したものを処罰することにより、自己消費目的の酒類製造の自由が制約されるとしても、そのような規制は、立法府の裁量権を逸脱し、著しく不合理であることが明白であるとはいえず、憲法第13条に反するものではない。

オ) 憲法第13条によって保障される個人の私生活上の自由では、みだりに指紋の押捺を強制されない自由も含まれるが 、この自由は、権利の性質上、我が国の国民のみに認められるものであり、我が国に在留する外国人に指紋の押捺を義務付けることは同条に反しない。

1) ア
2) エ)
3) ア)、オ)
4) イ)、ウ)
5) エ)、オ)

■解説

ア) 誤り。「囚われの聴衆」事件(最判昭和63年12月20日)である。本肢は本件の伊藤補足意見をもとにしていると思われるが、伊藤補足意見は、心の静謐を乱されない利益は幸福追求権の1つに含まれると解することもできないことはないとしているが、それが精神的自由権に属し優越的地位を有するとまでは述べていない。

イ) 誤り。最判平成12年2月29日である。最高裁は、「患者が、輸血を受けることは自己の宗教上の信念に反するとして、輸血を伴う医療行為を拒否するとの明確な意思を有している場合、このような意思決定をする権利は、人格権の一内容として尊重されなければならない」とした。前掲芦部126頁、佐藤189−190頁。

ウ) 誤り。最高裁は、三菱樹脂事件(最大判昭和48年12月12日)を引用しつつ「私立」学校の校則が憲法に直接する違反するかどうかを論ずる余地はないとし、そのうえで「バイク三ない校則」の合理性を肯定した原審の判断を支持した(最判平成3年9月3日)。前掲佐藤190−191頁注49。

エ) 正しい。どぶろく裁判(最判平成1年12月14日)である。これについては、「どぶろく作り」を経済活動、財産権保障の問題として構成すべきであったという批判がある。前掲佐藤177頁注9。

オ) 誤り。指紋押捺拒否事件である(最判平成7年12月15日)。最高裁は、「何人もみだりに指紋の押なつを強制されない自由を有するものというべきであり、国家機関が正当な理由もなく指紋の押なつを強制することは」13条の趣旨に反し、「この自由の保障は我が国に在留する外国人にも等しく及ぶ」としつつ、当時の指紋押捺制度の合理性、手段の相当性を肯定した。前掲芦部97頁、佐藤150頁。

よって正解は2)エとなろう。