■公務員試験過去問分析(憲法、外国人の人権2)

行政書士合格講座憲法学の窓・公務員試験対策室公務員試験対策室>公務員試験過去問分析(憲法、外国人の人権2)

このサイトについて・プライバシーポリシー Site Map

■外国人の人権(国家公務員1種試験〔2011年〕)

外国人の人権に関するア)−オ)の記述のうち、判例に照らし、妥当なもののみをすべて挙げているのはどれか。

ア)  社会保障上の施策において在留外国人をどのように処遇するかについては、国は、特別の条約の存しない限り、その政治的判断によりこれを決定することができ、その限られた財源の下で福祉的給付を行うに当たり、自国民を在留外国人より優先的に扱うことも許されるべきことと解され、障害福祉年金(当時)の支給対象者から在留外国人を除外することは、憲法第25条に違反するものではない。

イ) わが国に在留する外国人は、憲法上、外国へ一時旅行する自由を保障されているものではなく、外国人の再入国の自由は、憲法第22条により保障されない。

ウ) 各人に存する種々の事実関係上の差異を理由とする法的扱いの区別は、合理性を有する限り憲法第14条に違反せず、台湾住民である旧軍人軍属が戦傷病者戦没者遺族等援護法及び恩給法に定める国籍条項等の規定により、それらの適用から除外され、日本の国籍を有する旧軍人軍属と台湾住民である旧軍人軍属との間に差別が生じているとしても、それが十分な合理的的根拠に基づくものである以上、当該規定は憲法第14条に反するものではない。

エ) 憲法第22条第2項は、外国人の外国移住の自由を保障した規定とは解せられないが、我が国内に居住する外国人がその本国へ帰国のための出国はもちろん、その他外国へ移住することの自由が尊重されるべきであることは、同項の精神に照らして明らかであるから、結局憲法の精神は外国人に対しても国民に対すると同様の保障を与えているものと解すべきである。

オ) 憲法第3章の諸規定による基本的人権の保障は、権利の性質上日本国民のみをその対象としていると解されるものを除き、我が国に在留する外国人対しても等しく及ぶもの、と解すべきであり、政治活動についても、我が国の政治的意思決定又はその実施に影響を及ぼす活動等外国人にの地位にかんがみこれを認めることが相当でないと解されるものを除き、その保障が及ぶ。したがって、法務大臣が、外国人の在留期間更新の際に、在留期間中の憲法の基本的人権の保障を受ける行為を消極的な事情として斟酌することは許されない。

1) ア)、イ)
2) ア)、エ)
3) ア)、イ)、ウ)
4) イ)、エ)、オ)
5) ウ)、エ)、オ)

■解説

ア) 正しい。塩見訴訟(最判平成1年3月2日)である。佐藤幸治『日本国憲法論』(成文堂、2011年)147頁。

イ) 正しい。森川キャサリーン事件(最判平成4年11月16日)である。芦部信喜(高橋和之補訂)『憲法』第5版(2011年、岩波書店)95−96頁。前掲佐藤143頁。

ウ) 正しい。最判平成4年4月28日。

エ) 誤り。憲法22条2項「にいう外国移住の自由は、その権利の性質上外国人に限つて保障しないという理由はない」というのが判例である(最大判昭和32年12月25日)。前掲芦部95頁、佐藤143頁。

オ) 誤り。マクリーン事件(最大判昭和53年10月4日)である。前半部分は正しいが、外国人の人権保障はその在留制度の枠内で与えられるにすぎないから、法務大臣は、在留中の外国人の行為が合憲のものであっても、それを在留期間更新の際消極的事由として斟酌することが許されるとしたのがこの事件である。前掲芦部96−97頁、佐藤149頁。

よって正解は3)となる。