■公務員試験過去問分析(憲法、天皇制2)

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■天皇制(地方上級試験〔2002年〕)

憲法に定める天皇又は皇室財産に関する記述として、妥当なのはどれか。

1) 皇位は世襲のものであり、皇位継承が生ずる場合は原則として天皇が崩じたときであるが、不治の重患があり又は重大な事故があるときに限り、天皇は生前に譲位することができると皇室典範に定められている。

2) 天皇は刑事責任を問われないが、民事責任は問われると解されており、また、最高裁判所は、天皇に民事裁判権が及ぶと判示した。

3) 天皇の国事行為に対する助言と承認は、国会ではなく内閣が行わなければならず、天皇の行う国事行為すべてについて必要とされる。

4) 天皇は、国事行為を自ら行わなくてはならず、摂政をおく場合を除き、皇族に委任して臨時に代行させることはできない。

5) 皇室の費用のうち、内廷費及び皇族費は、天皇・皇族の日常の費用に充てられ、宮内庁の経理に属する公金ではないため、予算に計上して国会の議決を頼る必要はない。

■解説

1) 誤り。「皇室典範」中に生前退位を認めた規定は存在しない。宮沢俊義(芦部信喜補訂)『全訂日本国憲法』(1978年、日本評論社)57頁。皇室典範3、4条参照

2) 誤り。学説では、天皇は「民事責任を免れないと解する説が有力であるが、免責されないとしても「民事裁判権」が及ぶか否かは別問題であり検討が必要になる。この点最高裁は、天皇に民事裁判権は及ばないという立場をとった(最判平成1年11月20日)。佐藤幸治『日本国憲法論』(成文堂、2011年)509頁。

3) 正しい。憲法3条。

4) 誤り。4条2項は国事行為の委任を認めているが、同条を具体化した法律である、国事行為の臨時代行に関する法律は、皇族への国事行為の委任を認めている(同2条参照)。

5) 誤り。内廷費宮廷費皇族費は予算に計上しなくてはならない皇室の費用である。憲法88条、皇室経済法3条。芦部信喜(高橋和之補訂)『憲法』第5版(2011年、岩波書店)52−539頁、前掲佐藤524頁。