■公務員試験過去問解説(憲法、信教の自由1)

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■信教の自由(国家公務員試験2種〔2010年〕)

信教の自由に関するア)−オ)の記述のうち、妥当なもののみをすべて挙げているのはどれか。

ア) 憲法第20条が保障する信教の自由とは内心における信仰の自由及び宗教的行為の自由のことであり、特定の宗教を宣伝し、又は共同で宗教的行為を行うことを目的とする団体を結成する自由(宗教的結社の自由)は同条から直接導き出せる権利ではないが、同条の精神に照らし、十分尊重しなければならないと一般に解されている。

イ) 内心における信仰の自由は絶対的に保障されるものであり、たとえ俗悪な邪教であっても、その宗教への信仰それ自体を問題として、国がその宗教を信仰することを禁止することは許されないと一般に解されている。

ウ) 憲法第20条第3項により禁止される「宗教的活動」とは、国及びその機関の活動で宗教とのかかわり合いをもつすべての行為を指すものではなく、宗教とのかかわり合いが我が国の社会的・文化的諸条件に照らし相当とされる限度を超えるものに限られ、当該行為の目的が宗教的意義をもち、その効果が宗教に対する援助、助長、促進又は圧迫、干渉等になるような行為をいうとするのが判例である。

エ) 公立学校において、学生の信仰を調査せん索し、宗教を序列化して別段の取扱いをすることは許されないが、学生が信仰を理由に剣道実技の履修を拒否する場合に、学校が、その理由の当否を判断するため、単なる怠学のための口実であるか、当事者の説明する宗教上の信条と履修拒否との合理的関連性が認められるかどうかを確認する程度の調査をすることは、公教育の宗教的中立性に反するとはいえないとするのが判例である。

オ) 公職にある者の社会的儀礼として天皇の即位に祝意を表する目的で、知事が大嘗祭に参列した行為は、それが他の参列者と共に参拝して礼拝したにとどまるものであっても、大嘗祭が皇位継承の際に行われてきた、神道の儀式にのっとった皇室の伝統儀式であることに照らせば、宗教とのかかわり合いを否定することができず、憲法第20条第3項に違反するとするのが判例である。

1) ア)、エ)
2) ウ)、オ)
3) ア)、イ)、オ)
4) ア)、ウ)、エ)
5) イ)、ウ)、エ)

■解説

ア) 誤り。宗教的結社の自由も、信仰の自由及び宗教的行為の自由と同じく20条から直接導き出し得る権利である。芦部信喜(高橋和之補訂)『憲法』第5版(2011年、岩波書店)151頁、佐藤幸治『日本国憲法論』(成文堂、2011年)225頁。

イ) 正しい。前掲佐藤226頁。

ウ) 正しい。津地鎮祭訴訟(最大判昭和52年7月13日)である。前掲芦部158−159頁、佐藤235頁。

エ) 正しい。剣道実技拒否事件(最判平成8年3月8日)である。前掲芦部154−155頁、佐藤229−230頁。

オ) 誤り。最高裁は、大嘗祭の参列につきその目的は「天皇の即位に伴う皇室の伝統儀式に際し、日本国及び日本国民統合の象徴である天皇に対する社会的儀礼を尽くすもの」であり、その効果は「特定の宗教に対する援助、助長、促進又は圧迫、干渉等になるようなものではない」として、目的効果基準に照らし合憲と判断している(最判平成14年7月11日)。

よって正解は5)となろう。