■公務員試験過去問分析(憲法、違憲審査制2)

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■違憲審査制(国家公務員試験2種〔2001年〕)

最高裁判所が、ある法律の条項は憲法違反であると判断した場合に、その判決の効力をどのように理解すべきかについては、次の2説がある。

(T説) 当該条項は一般的かつ確定的に無効となり、当該条項が失われたのと同様の効果を有する。

(U説) 当該条項はその適用が問題となった事件に限り適用が排除され、違憲判断はあくまで裁判の当事者のみに及ぶ。

次のア)−カ)は、上記2説のいずれかの論拠に関する記述であるが、T説の論拠として妥当なものの組み合わせはどれか。

ア) 憲法第41条は、国会は国の唯一の立法機関であると規定している。

イ) 憲法第98条第1項憲法は、国の最高法規であって、これに反する法律はその効力を有しないと規定している。

ウ) 他方の説によれば、法的安定性や予見可能性を損なうことになる。

エ) 行政機関及び司法機関と比べて、立法機関は、その構成員から議員が国民の直接選挙によって選出されるという意味で、最も民主的基盤を有する機関である。

オ) 他方の説によれば、憲法第14条第1項の平等原則に違反するおそれがある。

カ) 最高裁判所が憲法判断を行う場合であっても、その判決が通常の訴訟法上の効力以上に特別な効力を有すると考えることは困難である。

1) イ)、エ)
2) ウ)、カ)
3) ア)、エ)、カ)
4) イ)、ウ)、オ)
5) ア)、ウ)、エ)、オ)

■解説

ア) U説の根拠である。U説(個別的効力説)は、違憲とされた条項を無効にするという消極的立法作用を有するのは、国の唯一の立法機関である国会であるとして、T説(一般的効力説)を批判する。芦部信喜(高橋和之補訂)『憲法』第5版(2011年、岩波書店)378−379頁、佐藤幸治『日本国憲法論』(成文堂、2011年)667頁。

イ) T説の根拠である。「効力を有しない」(憲法98条1項)以上、「当該条項は一般的かつ確定的に無効」となるべき、ということになる。前掲佐藤666頁。

ウ) T説の根拠である。個別的効力説によれば、違憲とされた条項は「当該事件のみ」適用が排除され条項自体は残るのだから、「他の事件」では合憲として適用される場合もあり得るからである。前掲芦部379頁。

エ) U説の論拠である。個別的効力説は、「最も民主的基盤を有する機関」である国会制定法の条項を、国会より民主的基盤のない司法機関が確定的に無効とするのはおかしい(無効にするのは国会である)として、一般的効力説を批判する。

オ) T説の根拠である。一般的効力説は、問題とされた条項が違憲として適用されなかったり、違憲とされたにもかかわらず当該条項が残った結果合憲として適用され得ることもあるため平等原則の観点から問題であると、個別的効力説を批判する。前掲芦部369頁、佐藤666頁。

カ) U説の根拠である。個別効力説は、憲法訴訟における判決も「通常の訴訟法上の効力」と同じく当該事件の当事者にのみ及ぶとして、違憲判決の効力に違憲とされた条項の無効(消極的立法作用)まで認める一般的効力説を否定する。前掲芦部379頁、佐藤667頁。

よって正解は4)となろう。