■公務員試験過去問分析(憲法、違憲審査制1)

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■違憲審査制(特別区〔2010年〕)

日本国憲法に規定する違憲審査権に関する記述として、妥当なのはどれか

1) 最高裁判所の判例では、日本国憲法は、最高裁判所を一切の法律、命令、規則又は処分が適合するかしないかを決定する終審裁判所であると規定しているため、下級裁判所に法令の違憲審査権を認めないものとした。

2) 最高裁判所の判例では、薬局の開設等の許可基準の一つとして地域的制限を定めて薬事法の規定は、不良医薬品の供給の防止等の目的のために必要かつ合理的な規制を定めたものということができないから、違憲危険であるとした。

3) 最高裁判所の判例では、警察予備隊違憲訴訟において、最高裁判所の有する違憲審査権は、司法権の範囲内において行使されるものであれば、具体的事件を離れて抽象的に法律命令等の合憲性を判断することができるものとした。

4)  憲法その他法令の解釈適用について、意見が前に最高裁判所の行った裁判に反するときは、最高裁判所の小法廷における審理及び裁判により判例を変更することができる。

5) 最高裁判所によって、ある法律の規定が違憲と判断された場合、違憲とされた法律の規定は、当該事件に限らず、一般的に無効となるとするのが個別的効力説である。

■解説

1) 誤り。下級裁判所にも違憲審査権を認めるのが判例である(最大判昭和25年2月1日)。すべて裁判官は憲法に拘束され、裁判をするにあたり適用法令が憲法に適合するか否かを判断することは、憲法により裁判官に課せられた裁判官の職務と職権であると言えるからである。芦部信喜(高橋和之補訂)『憲法』第5版(2011年、岩波書店)373頁、佐藤幸治『日本国憲法論』(成文堂、2011年)624頁

2) 正しい。薬局距離制限事件(最大判昭和50年4月30日)。前掲芦部219頁、佐藤301−302頁。

3) 誤り。「具体的な争訟事件が提起されないのに将来を予想して憲法及びその他の法律命令等解釈に対し存在する疑義論争に関し抽象的な判断を下すごとき権限をおこない得るものではない」というのが判例である(警察予備隊違憲訴訟〔最大判昭和27年10月8日〕)。前掲芦部369頁、佐藤622−623頁。

4) 誤り。「憲法その他法令の解釈適用について、意見が前に最高裁判所の行った裁判に反するとき」は大法廷で審理及び裁判を行ったうえで判例変更をしなければならない(裁判所法10条3号)。

5) 誤り。これは一般的効力説の説明である。違憲とされた法律は「当該事件に限って適用が排除される」とするのが個別的効力説である。前掲芦部378頁、佐藤666頁以下。