■公務員試験過去問分析(憲法、国会と議員の権能1)

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■国政調査権の法的性質(国家公務員試験2種〔1997年〕)

憲法62条に規定する国政調査権の性質に関し、これを、議院に与えられた権能を実効的に行使するために認められた補助的な権能と見る説(A説)、国権統括のための独立の権能と見る説(B説)がある。これらの説に関する次の記述のうち、妥当なものはどれか。

1) A説の立場では、国会は国権の最高機関であるという憲法41条の規定は、単なる政治的宣言ではなく、国会の行政および司法に対する優位性を示すものであると解されている。

2) A説の立場では、裁判の判決確定後であっても、その判決の当否について国政調査権に基づき調査することは、司法権の独立を侵すものであり許されないと解されている。

3) A・B説のいずれの立場でも、国政調査権に基づく調査に対して、内閣が職務上の秘密であることを理由に情報の提供を拒むことは許されないと解されている。

4) A説の立場では、司法権の独立についてB説の立場以上に尊重することを要するから、裁判で審理中の事件の事実関係について国政調査権に基づき調査することは一切許されないと解されている。

5) A説の立場では、国会の権能が立法、予算審議など広い範囲に及ぶものである点を論拠として、国政調査権はB説と比べて広い範囲に及ぶと解されている。

■解説

問題文に言うA説が補助的権能説(通説)、B説が独立権能説である。

1) 誤り。A説は、41条の「国権の最高機関性」を政治的宣言とする(政治的美称説)立場とつながる。一方B説は、国会を国権の統括機関とする立場(統括機関説)とつながる。芦部信喜(高橋和之補訂)『憲法』第5版(2011年、岩波書店)285頁。佐藤幸治『日本国憲法論』(成文堂、2011年)430、466頁。

2) 正しい。判決確定後であっても、国政調査権に基づき判決の当否を調査するということは、調査が及んだ事件と同種の事件にも影響し、司法権の独立の観点から許されない。前掲芦部309頁。

3) 誤り。議院証言法5条は、本肢で言う「拒む」ことを認める。前掲芦部310頁、佐藤467頁。

4) 誤り。A説は、裁判所で審理中の事件であっても「別目的」での調査であれば、審理と平行して国政調査権に基づき当該事件を調査してもよいと解する。前掲芦部309頁。

5) 誤り。A説は、国政調査権を立法の補助的権能と解するが、そもそも立法の概念は広いので国政調査の範囲は実際B説と変わらない。前掲芦部308頁、佐藤466頁。