■公務員試験過去問解説(憲法、法の下の平等)

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■法の下の平等(特別区〔2014年〕)

日本国憲法に規定する法の下の平等に関する記述として、最高裁判所の判例に照らして、妥当なのはどれか

1) 児童扶養手当は、児童の養育者に対する養育に伴う支出についての保障である児童手当法所定の児童手当と同一の性格を有するものであり、受給者に対する所得保障である点において、障害福祉年金とは性格を異にするため、児童扶養手当と障害福祉年金の併給禁止条項は憲法に反して無効であるとした。

2) 旧所得税法が給与所得に係る必要経費につき実額控除を廃し、代わりに概算控除の制度を設けた目的は、給与所得者と事業所得者等の租税負担の均衡に配慮したものであるが、給与所得者と事業所得者等との区別の態様が正当ではなく、かつ、著しく不合理であることが明らかなため、憲法の規定に反するとした。

3) 会社がその就業規則中に定年年齢を男子60歳、女子55歳と定めた場合において、少なくとも60歳前後までは男女とも通常の職務であれば職務遂行能力に欠けるところはなく、会社の企業経営上定年年齢において女子を差別する合理的理由がないときは、当該就業規則中女子の定年年齢を男子より低く定めた部分は性別による不合理な差別を定めたものとして無効であるとした。

4) 憲法が各地方公共団体の条例制定権を認める以上、地域によって差別を生ずることは当然に予期されるが、その結果生じた各条例相互間の差異が合理的なものと是認せられて始めて合憲と判断すべきであり、売春取締に関する法制は、法律によって全国一律に、統一的に規律しなければ憲法に反するとした。

5) 信条による差別待遇を禁止する憲法の規定は、国または地方公共団体の統治行動に対する個人の基本的な自由と平等を保障するだけではなく、私人間の関係においても適用されるべきであり、企業者が特定の思想、信条を有する者をそのゆえをもって雇い入れることを拒むことは、当然に違法であるとした。

■解説

1) 誤り。堀木訴訟(最大判昭和57年7月7日)である。児童扶養手当は、児童手当と性格を異にし障害福祉年金と同一の性格を有するとし、また児童扶養手当と障害福祉年金の併給禁止条項を合憲としたのが同判例である。芦部信喜(高橋和之補訂)『憲法』第5版(2011年、岩波書店)132頁、佐藤幸治『日本国憲法論』(成文堂、2011年)佐藤214−215頁。

2) 誤り。ここで言う「給与所得者と事業所得者等との区別の態様」の正当性及び合理性を認めたのが判例(サラリーマン税金訴訟〔最大判昭和60年3月27日〕)である。前掲芦部131−132頁、佐藤213−214頁。

3) 正しい。日産自動車事件(最判昭和56年3月24日)である。前掲芦部113頁、佐藤166頁。

4) 誤り。この点、「憲法が各地方公共団体の条例制定権を認める以上、地域によつて差別を生ずることは当然に予期され」このような「差別は憲法みずから容認するところである」。それ故、売春の取締について地方公共団体が各別に条例に条例を制定するため、「その取扱に差別を生ずることがあつても」「地域差の故をもつて違憲ということはできない」というのが判例(最判昭和33年10月15日)である。佐藤213頁注90。

5) 誤り。憲法14条は「国または公共団体と個人との関係を規律するものであり、私人相互の関係を直接規律することを予定するものではなく、「企業者が特定の思想、信条を有する者をそのゆえをもつて雇い入れることを拒んでも、それを当然に違法とすることはできない」というのが判例(三菱樹脂事件〔最大判昭和48年12月12日〕)である。前掲芦部112−113頁、佐藤165−166頁。