■公務員試験過去問分析(憲法、表現の自由3)

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■検閲概念(地方公務員試験上級〔1999年〕)

憲法21条2項の規定する「検閲」の概念に関する次の記述のうち、判例に照らし、妥当なものはどれか。

A) 検閲をおこなう主体は行政権でなければならず、公権力一般ではない。

B) 発表後に表現物を審査し、不適当な内容であることを理由として刑罰の制裁を加えることもある。

C) 思想内容などの表現物を対象とする審査であれば、網羅的一般的に審査するのではなくても、又、思想内容等の規制を目的とするものでなくても、検閲に該当する。

D) 検閲に該当するか否かを検討し、該当しないとすれば、さらに事前抑制の原則的禁止に該当するか否かを検討する必要はない。

E) 検閲の禁止は絶対的であって、公共の福祉の見地から例外的に許容される余地はまったくない。

1) AC
2) AE
3) BD
4) BE
5) CD

■解説

A) 正しい。判例は、検閲の主体を行政権に限定する(狭義説税関検査事件〔最大判昭和59年12月12日〕)。芦部信喜(高橋和之補訂)『憲法』第5版(2011年、岩波書店)190頁以下参照、佐藤幸治『日本国憲法論』(成文堂、2011年)256頁以下参照。一方広義説では、裁判所による事前差止も、検閲の問題とする。

B) 誤り。判例によれば、検閲とは表現物の発表前(芦部説では受領前)に「発表を禁止する」行為である。前掲芦部191、193−194頁。発表の制裁は検閲の問題ではない。

C) 誤り。検閲と言えるためには、発表前に表現物について網羅的一般的にその内容を審査することが必要とするのが前記判例である。前掲芦部193頁、佐藤257頁。

D) 誤り。事前抑制の禁止(21条1項)と検閲禁止(2項)につき、後者を絶対禁止とし前者と区別するのが判例である。そのため判例によると、表現物の差止に関する審査については、検閲か否かという判断と事前抑制か否かという判断、つまり2段階のプロセスを経ることになる。 前掲芦部191頁。狭義説は、事前抑制の原則禁止(21条1項)と検閲禁止(2項)とを区別する(二元論)。前掲佐藤258頁。

E) 正しい。よって答えは2)となろう。