■公務員試験過去問分析(憲法、人権総合2)

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■人権総合(国税専門官試験〔2009年〕)

基本的人権の保障に関するア)−オ)の記述のうち、判例に照らし、妥当なもののみをすべて挙げているのはどれか。

ア) 憲法の定める国民の権利及び義務の各条項は、その性質上可能な限り法人にも適用されるが、巨大な経済的・社会的実力を有する大企業による政治資金の寄附が政治の動向に及ぼす影響は大きく、これを自然人たる国民による寄附別異に扱うべき憲法上の要請がある。

イ) 憲法は政教分離の原則に基く諸規定を設けているが、当該規定の基礎となり、その解釈の指導原理となる政教分離原則は、国家が宗教的に中立であることを要求するものではあるが、国家が宗教との関わり合いを持つことを全く許さないとするものではなく、宗教とのかかわり合いをもたらす行為の目的及び効果にかんがみ、そのかかわり合いが我が国の社会的・文化的諸条件に照らし相当とされる限度を超えるものと認められる場合にこれを許さないとするものである。

ウ) 女性のみに前婚解消後6か月の再婚禁止を規定した民法第733条は、父性の推定の重複を回避し、父子関係をめぐる紛争の発生を未然に防ぐという目的は正当であるものの、その手段はやむを得ないものとは認められず問題があるが、極めて明白に合理性を欠くとまではいえないから、憲法第14条に違反しない。

エ) 生存権について規定する憲法第25条は、国民の生存を確保すべき政治的・道義的義務を国に課したにとどまらず、個々の国民に対し具体的な権利を直接賦与したものであり、厚生労働大臣の定める生活保護基準が最低限度の生活水準を維持する程度の保護に欠ける場合には、憲法第25条に違反する。

オ) 憲法第33条は、現行犯として逮捕される場合を除いては、裁判官の令状によらなければ逮捕されないとして、恣意的な人身の自由の侵害を阻止するために令状主義を定めており、現行犯の場合以外には、いかなる場合においても事前に裁判官の令状を取ることなく逮捕することは認められない。

1) ア)

2) イ)

3) オ)

4) イ)、エ)

5) ウ)、オ)

■解説

ア) 誤り。八幡製鉄事件(最大判昭和45年6月24日)である。最高裁はここで言う「憲法上の要請」の存在を否定している。芦部信喜(高橋和之補訂)『憲法』第3版(2002年、岩波書店)89頁、佐藤幸治『日本国憲法論』(成文堂、2011年)154頁。

イ) 正しい。津地鎮祭訴訟(最大判昭和52年7月13日)である。前掲芦部151頁、佐藤233頁。

ウ) 誤り。最判平成7年12月5日は、民法733条の立法目的の正当性については認めているが、規制手段についての合理性については言及していない。前掲芦部129−130頁、佐藤203頁。

エ) 誤り。判例は生存権の理解につき、プログラム規定説を採用する(朝日訴訟。最大判昭和42年5月24日)。前掲芦部245−246頁、佐藤364頁。

オ) 誤り。刑事訴訟法は現行犯のほか、準現行犯緊急逮捕につき令状主義の例外を認めている(刑事訴訟法212条2項、210条)。

よって正解は2)となろう。