■公務員試験過去問解説(憲法、特別な法律関係における人権制約)

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■在監者の人権(国家公務員試験2種〔1996年〕)

在監者の人権に関する次の記述のうち、妥当なものはどれか。

1) 在監者の人権の制限を正当化する根拠については、命令・支配の要素を強く有する在監関係の特殊性から、公務員の勤務関係や国公立大学学生の在学関係とは異なり、在監者が一般の権力関係とは区別された特別の権力関係に服するという点に求められるとするのが通説である。

2) 在監者の人権の制限の程度は、在監者がおかれている在監関係の性質に応じて、個別的・具体的な検討を必要とするが、在監者の権利・自由のうち、たとえば、集会・結社の自由は当然認められないのに対し、思想・良心の自由は一般国民と同様に保障されなければならない。

3) 在監者にも意見、知識、情報の媒体である新聞、図書などの閲読の自由が憲法上認められるが、閲読を許すことにより監獄内の規律及び秩序が害される一般的、抽象的な恐れがある場合には、当該閲読の自由を制限することができるとするのが判例である。

4) 喫煙の自由は憲法13条の保障する基本的人権の一つに含まれるから、在監者に対して監獄内での喫煙を禁止することは、喫煙を許すことにより証拠隠滅の恐れや火災発生による在監者の逃走が予想されるなど在監目的の達成が著しく損なわれる事情の存しない限り、同条に違反するとするのが判例である。

5) 在監者の外部交通権のうち、外部者との接見については、在監関係を維持するために必要かつ合理的な制限を加えることができるが、信書の発受については、通信の秘密は無条件に保障されるべきものであり、信書を検閲するなどの制限を加えることは許されない。

■解説

1) 誤り。ここに言う「特別権力関係論」は現在支持がない。芦部信喜(高橋和之補訂)『憲法』第5版(2011年、岩波書店)102−103頁、佐藤幸治『日本国憲法論』(成文堂、2011年)佐藤157頁。

2) 正しい。内心の自由は「絶対不可侵」である。

3) 誤り。「よど号」ハイジャック新聞記事抹消事件(最大判昭和58年6月22日)は、監獄内の規律及び秩序が害される「相当の蓋然性」がある場合、閲読の自由を制限できるとしている。前掲芦部105頁、佐藤158−159頁。

4) 誤り。喫煙の自由が基本的人権の一つに「含まれるとしても」、その制限は許容されるというのが判例である(最判昭和45年9月16日)。前掲佐藤158頁。

5) 誤り。現行法上本肢の制度は認められている(刑事収容施設及び被収容者等の処遇に関する法律126条以下参照)。前掲佐藤159−160頁。