■公務員試験過去問分析(憲法、人権総合1)

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■人権総合(地方公務員試験〔1990年〕)

以下の憲法の各条項に関連する最高裁判所の判断と合致しないものはどれか。

1) 憲法13条 個人の承諾なしに、みだりにその容貌・姿態を撮影されない自由が同条で保障されている。

2) 憲法21条 新聞に言論による攻撃が掲載された場合に、これに対する反論文の掲載を当該新聞に要求する権利が同条で保障されている。

3) 憲法29条 ため池の破損・決壊の原因となるため池の堤とうの使用を条例を以て禁止、処罰しても同条に違反しない。

4) 憲法35条 捜索・押収令状に、その令状が正当な理由に基づいて発せられたことが明示されていなくても、同条に反するものではない。

5) 憲法82条 同条は、傍聴人に対して法廷においてメモを取ることを権利として保障していない。

■解説

1) 正しい。「肖像権」が争われた京都府学連事件(最大判昭和44年12月24日)である。ただし判例は「肖像権」という言葉を真正面切って言っていないことに注意。

2) 誤り。「反論権」が争われたサンケイ新聞事件(最判昭和62年4月24日)である。判例は本肢のような反論権を認めなかった。

3) 正しい。奈良県ため池条例事件(最大判昭和38年6月26日)である。

4) 正しい。最判昭和38年6月26日である。

5) 正しい。法廷メモ採取事件である(最大判平成1年3月8日)。この事件の結論部分は、メモを取る行為は、21条の趣旨に照らし故なく妨げられてはならないとなっている。

■人権総合(地方公務員試験〔1989年〕)

次の記述のうち、判例に照らし、妥当なものはどれか。

1) 大学の自治は、直接には教授その他の研究者の研究活動のためのものであるから、学生が実生活の政治的社会的活動に当たる集会を開催する場合に、その集会に警察官が立ち入ったとしても、大学の学問の自由と自治を侵害するものではない。

2) 憲法の禁止する検閲は一切の検閲を指し、いわゆる税関検査もこれに該当するものとして違憲とされた。

3) 新聞に謝罪広告を掲載することを命ずる判決は、思想・良心の自由を侵害するものであり、違憲である。

4) 国が全ての宗教活動について平等一律に保護を与えることは憲法20条に反するものではない。

5) 裁判所が新聞社に対し、取材活動によって撮影した写真を証拠として提出することを命ずることは違憲である。

■解説

1) 正しい。東大ポポロ劇団事件(最大判昭和38年5月22日)。

2) 誤り。税関検査は憲法が定める検閲に該当しない(最大判昭和59年12月12日)。

3) 誤り。謝罪広告強制事件(最大判昭和31年月4日)は、謝罪広告を命ずる判決につき思想、良心の自由を侵害するものではないとしている。

4) 誤り。他の宗教団体から区別して特定の宗教団体に保護を与える事ばかりでなく、「他の団体から区別して宗教団体にのみ」「優遇的地位・利益」を付与することは、20条1項後段の「特権付与の禁止」に該当する場合があり得る。佐藤幸治『日本国憲法論』(成文堂、2011年)234頁。

5) 誤り。博多駅事件(最大決昭和44年11月26日)である。

■人権総合(国家公務員試験2種〔1989年〕)

精神的自由に関する次の記述のうち、妥当なものはどれか。

1) 「映倫」が映画の封切前に内容を審査し、審査の結果に基づいて映画会社に対し削除を求めることは、業界が自発的に設置した「映倫」という私的機関が行うものであるから、憲法の禁止する「検閲」あたらない。

2) 裁判所が判決において、他人の名誉を毀損した被告人に対し謝罪広告を命ずることは、被告人がその良心において正しいと信じていることを、国家権力が強制的に訂正せしめることであり、良心の自由の保障に反して違憲であるとするのが判例である。

3) 信教の自由の内容は、信仰の自由、宗教的儀式の自由に限られ、宗教的結社の自由は含まれない。

4) 学問の自由は、大学における研究教育従事者の学問研究の自由をさし、その研究の結果を発表する自由は含まれないとするのが判例である。

5) 憲法は集会の自由を保障しているから、空き地や建物の所有者は、第三者がそこで集会を開くことを容認しなければならない。

■解説

1) 正しい。検閲は「行政権」によってなされるものだからである(最大判昭和59年12月12日)。芦部信喜(高橋和之補訂)『憲法』第3版(2002年、岩波書店)182頁、前掲佐藤257頁。

2) 誤り。謝罪広告それ自体は違憲でないとするのが判例である(最大判昭和31年7月4日)。

3) 誤り。宗教の自由の保障内容には、信仰の自由、宗教的行為の自由、宗教的結社の自由が含まれる。

4) 誤り。東大ポポロ劇団事件(最大判昭和38年5月22日)は、研究発表の自由が学問の自由の保障に含まれるとしている。

5) 誤り。憲法規範は、私人たる第三者に対して義務を生じさせるものではない。

■人権総合(国税専門官試験〔1991年〕)

基本的人権の保障に関する次の記述のうち、妥当なものはどれか。

1) 何人も現行犯として逮捕される場合を除いては、理由となっている犯罪を明示した裁判官の発する令状によらなければ逮捕されない。

2) 行為が行われたときにその行為が適法であっても、その後に制定された法律によって違法とされる場合には、その行為につき刑罰を科すことができる。

3) 新聞記者が法廷において取材源に関する証言を拒否する権利は、憲法上保障されているとするのが判例である。

4) 集会の自由も表現の自由に含まれるから、事前抑制である検閲の禁止は当然に集会の自由にも妥当し、デモ行進などの集団行動についても事前抑制を認めることは許されないとするのが判例である。

5) 無罪の裁判を受けた場合でも抑留または拘禁がなざれていれば、国にその補償を求めることはできない。

■解説

1) 誤り。緊急逮捕(刑事訴訟法210条)は憲法33条の例外となる。

2) 誤り。本肢のような処罰は遡及処罰であり、39条に照らし認められない。

3) 誤り。「証言義務を犠牲にしてまでも取材源の秘匿を認めることはできない」とするのが判例である(最大判昭和27年8月6日、石井記者事件)。前掲芦部169頁、佐藤278−279頁。

4) 誤り。判例は、検閲の対象を「表現物」としているので、検閲禁止と集会の自由は直接の関係を持たないことになる(最大判昭和59年12月12日)。芦部信喜(高橋和之補訂)『憲法』第3版(2002年、岩波書店)182頁、前掲佐藤257頁。また集会の自由について判例は、一般的な許可制による事前抑制は許されないが、特定の場所又は方法につき合理的かつ明確な基準の下で許可制をとることは許されるとしている。全く事前抑制が許されないわけではない(最大判昭和29年12月14日。新潟県公安条例事件)。前掲芦部197−198頁。佐藤289−290頁。

5) 正しい。憲法40条、刑事補償法1条1項参照。