■公務員試験過去問分析(憲法、裁判所の組織と権能3)

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■裁判の公開(特別区〔2003年〕)

日本国憲法に規定する裁判の公開に関する記述として、最高裁判所の判例に照らして、妥当なのはどれか。

1) 公判廷における写真撮影、録音又は放送は裁判所の許可を得なければ行うことができないとする刑事訴訟規則の規定について、審判の秩序維持と訴訟関係人の正当な利益保護を理由に、合憲であるとした。

2) 夫婦間の協力扶助に関する処分の審判は、家庭裁判所が後見的立場から裁量権を行使してその具体的内容を形成するものであり、公開法廷における対審及び判決によらなければならないとした。

3) 刑事裁判については、刑罰権の存否並びに範囲を定める手続だけでなく、再審を開始するかどうかを定める手続についても、公開法廷における対審及び判決によらなければならないとした。

4) 裁判所が終局的に事実を確定し、当事者の主張する実体的権利義務の存否を確定することを目的とする性質上純然たる訴訟事件について、公開法廷における対審及び判決によらなくても、違憲ではないとした。

5) 裁判の公開は制度的保障ではなく、各人に裁判所に対して傍聴することを権利として要求できることを認めたものであり、さらに、傍聴人に対して法廷においてメモを取ることも権利として保障したものであるとした。

■解説

1) 正しい。北海タイムス事件(最大決昭和33年2月17日)。芦部信喜(高橋和之補訂)『憲法』第5版(2011年、岩波書店)343頁、佐藤幸治『日本国憲法論』(成文堂、2011年)276頁。

2) 誤り。夫婦の協力扶助(民法752条、家事審判法9条1項乙類1号参照)についての審判は、実体的権利義務自体の確定(これは訴訟事件である)ではなく、「家庭裁判所が後見的立場から裁量権を行使する本質的に非訟事件の裁判」とするのが判例である(最大判昭和40年6月20日)。よってここでの「審判」は公開法廷における対審及び判決による必要はない。前掲芦部250頁、佐藤607頁。肢4)解説参照。

3) 誤り。判例は、「再審を開始するかどうかを定める手続」を憲法82条1項に言う対審にあたらないとする(最大決昭和42年7月5日)。前掲佐藤605頁。

4) 誤り。32条、82条の「裁判」を「純然たる訴訟事件に限る」とするのが判例である(最大決昭和35年7月6日)。よって純然たる訴訟事件については、「公開法廷における対審及び判決」によらなければ違憲となる。前掲芦部250頁、佐藤607頁。

5) 誤り。「裁判の公開は制度的保障であり、「各人に裁判所に対して傍聴することを権利として要求できることを認めたものではなく、「さらに、傍聴人に対して法廷においてメモを取ることも権利として保障したものではない、とするのが判例である(法廷メモ採取事件〔最大判平成1年3月8日〕)。前掲芦部344頁、佐藤276頁。