■公務員試験過去問分析(憲法、憲法改正1)

行政書士合格講座憲法学の窓・公務員試験対策室公務員試験対策室>公務員試験過去問分析(憲法、憲法改正1)

このサイトについて・プライバシーポリシー Site Map

■憲法改正(国家公務員試験2種〔2001年〕)

憲法改正に関する次の記述のうち、妥当なものはどれか。

1) 憲法改正とは、個別の条項の修正、削除、追加や新しい条項の増補などにより、成文憲法の内容について、憲法所定の手続に従い意識的な変更を加えることをいうが、元の憲法を廃止して新しい憲法を作る憲法制定や、明文の条項の形式的変更をしないままにその規範の意味に変更が生じる憲法の変遷も、この憲法改正の概念に含まれる。

2) 成文憲法は、通常の法律制定手続以上に厳格な改正手続を必要とする硬性憲法と、通常の法律制定手続により法改正が可能な軟性憲法とに区別され、この区別によればわが国の憲法は硬性憲法であり、また実際上もこれまで一度も改正されたことがない。

3) 憲法改正の手続は、国会議員の発案によって改正され、国会に提出された憲法改正の審議は、憲法および国会法に特別の規定がないことから、法律案の審議に準じて行うことができるが、国会は、提出された改正案を修正することができず、その内容の是非を審議することができるにとどまると解されている。

4) 憲法改正は国民の承認によって成立するが、この承認は、憲法上、特別の国民投票または国会の定める選挙の際行われる投票において、その過半数の賛成を必要とすることとされており、またこの場合における「過半数」の意味は、有権者総数の過半数と解するのが通説である。

5) 憲法改正に何らかの限界が存するかについては、法は社会の変化に応じて変化すべきものであり、憲法もその例外ではないことから、憲法の規定する改正手続に従えば、いかなる内容の改正も行うことが可能であり、例えば、国民主権の原理を変更することも認められると解するのが通説である。

■解説

1) 誤り。憲法改正は、「意識的・形式的に憲法の改変をなすこと」をいう。佐藤幸治『日本国憲法論』(成文堂、2011年)35頁。よって条文はそのままだが、無意識的にその意味内容が変更されるという憲法変遷と憲法改正は別物である。前掲佐藤41頁。また新憲法制定も憲法改正とは異なる。

2) 正しい。憲法96条。

3) 誤り。国会が改正案を修正することは自由である。また国会法に審議についての特別の規定が存在する(国会法第6章の2、第11章の2、86条の2)。芦部信喜(高橋和之補訂)『憲法』第5版(2011年、岩波書店)383頁。

4) 誤り。過半数は「有効投票数」の過半数であると一般に解されている。国民投票法(126条)も同様の立場である。前掲芦部384頁、佐藤37頁。

5) 誤り。このような改正無限界説は少数説である。これに対し通説は改正限界説を採用する。改正限界説によれば、国民主権の変更は憲法制定権力の変更となるので認められない、と説かれるのが一般である。前掲芦部385頁以下、佐藤39頁以下。