■公務員試験過去問解説(憲法、裁判所の組織と権能2)

行政書士合格講座憲法学の窓・公務員試験対策室公務員試験対策室>公務員試験過去問解説(憲法、裁判所の組織と権能2)

このサイトについて・プライバシーポリシー Site Map

■最高裁判所等(国家公務員試験1種〔2011年〕)

裁判所、裁判官等に関するア)ーオ)の記述のうち、妥当なもののみをすべて挙げているのはどれか。

ア) 憲法は、特別裁判所を設置することを禁止しているが、現在の家庭裁判所は、家事事件及び少年事件には通常の民事事件及び刑事事件にはない特殊性が認められ、また、家事事件及び少年事件の審理に特化した裁判所を設置することに特段の弊害は認められないことにかんがみ、特に特別裁判所の禁止の例外として設置されているものである。

イ) 最高裁判所は、その長たる裁判官(最高裁判所長官)及びその他の裁判官(最高裁判所判事)によって構成されるところ、最高裁判所判事の人数については、法律で定めることとされている。また、最高裁判所長官は、内閣の指名に基づいて天皇が任命するが、最高裁判所判事については、最高裁判所長官の指名した者の名簿によって内閣が任命するとされており、これによって内閣による恣意的な最高裁判所判事の任命を防ぎ、司法権の独立が図られている。

ウ) 弾劾裁判の制度は、司法権がすべて裁判所に属するという原則に対して憲法自体が設けた例外であり、弾劾裁判所で罷免の裁判を受けた裁判官は、これに不服があっても、罷免の裁判に対してさらに通常の裁判所に訴訟を提起することはできないと解されている。

エ)  憲法上、最高裁判所の裁判官及び下級裁判所の裁判官の身分保障については差異が設けられており、下級裁判所の裁判官は、裁判により、心身の故障のために職務を執ることができないと決定された場合は罷免されるが、最高裁判所の裁判官の罷免は国民審査にゆだねられ、裁判により罷免されることはない。

オ) 最高裁判所の裁判官の国民審査は、実質的にはいわゆる解職の制度であり、積極的に罷免を可とするものと、そうでないものとの2つに分かれるのであって、罷免の可否について不明の者の投票を罷免を可とするものではない票に数えることは、憲法に反するものではないとするのが判例である。

1) エ)
2) ア)、エ)
3) ウ)、オ)
4) ア)、イ)、ウ)
5) イ)、ウ)、オ)

■解説

ア) 誤り。憲法が特別裁判所の設置を禁じているという点は正しいが(憲法76条2項)、家庭裁判所は特別裁判所禁止の例外として認められている「特別裁判所」ではない。家庭裁判所は通常裁判所であるとするのが判例である(最大判昭和31年5月30日)。佐藤幸治『日本国憲法論』(成文堂、2011年)597頁。

イ) 誤り。最高裁判所判事を任命するのは内閣だが、ここでいう「名簿」の制度は存在しない(憲法79条1項、なお80条1項)。最高裁判所判事の数については裁判所法5条3項、長官の指名については憲法6条2項参照。

ウ) 正しい。前掲佐藤592頁。

エ) 誤り。裁判官の「罷免」は、「心身の故障のために職務を執ることができない」と決定された場合、「公の弾劾」による場合の2つに限定される(78条)。最高裁裁判官はこれに加え、国民審査による罷免が存在する(79条3項)。前掲佐藤617頁。

オ) 正しい。最大判昭和27年2月20日。芦部信喜(高橋和之補訂)『憲法』第5版(2011年、岩波書店)341頁、前掲佐藤400頁。

よって正解は3)となる。