■公務員試験過去問分析(憲法、内閣の組織と権能1)

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■内閣総理大臣(特別区〔2005年〕)

日本国憲法に規定する内閣総理大臣に関する記述として、通説に照らして、妥当なのはどれか。

1) 内閣総理大臣は、国会議員の中から国会の議決で指名され、国会議員の任期満了又は衆議院の解散により、国会議員の地位を失った場合においては、直ちに内閣総理大臣地位の地位を失う。

2) 内閣総理大臣は、国務大臣を任意に罷免することができるが、この罷免権は内閣総理大臣の専権に属するため、国務大臣の罷免に当たっては、天皇の認証を必要としない。

3) 内閣総理大臣は、国務大臣の在任中における訴追への同意権を有するが、同意を拒否した場合、国務大臣は訴追されず、訴追の理由となった犯罪に対する公訴時効は進行する。

4) 内閣総理大臣は、内閣を代表して議案を国会に提出することができるが、この議案には法律案及び予算案が含まれる。

5) 内閣総理大臣は、法律に主任の国務大臣と共に連署しなければならないため、内閣総理大臣の連署を欠く法律の効力は否定される。

■解説

1) 誤り。内閣総理大臣が、衆議院の解散又は国会議員の任期満了を迎えると国会議員の地位を喪失するが(芦部信喜〔高橋和之補訂〕『憲法』第5版〔2011年、岩波書店〕119頁参照、佐藤幸治『日本国憲法論』〔成文堂、2011年〕452頁参照)、それが直ちに内閣総理大臣の地位の喪失につながるわけではない。新内閣総理大臣の任命を以て、旧総理大臣は当然にその地位を喪失することになる(憲法71条参照)。前掲芦部320頁。

2) 誤り。内閣総理大臣が国務大臣を任意に罷免できるという点は正しいが(68条2項。なお罷免につき閣議にかけることは必要でない。前掲佐藤490頁)、国務大臣の罷免については天皇の認証を要する(7条5号)。なお内閣総理大臣の臨時代理(内閣法9条)が内閣総理大臣の任免権を行使できるかについては、争いがある(先例は否定する)。前掲芦部317頁、佐藤489−490頁。

3) 誤り。国務大臣の訴追につき内閣総理大臣の同意が必要という点は正しいが(憲法75条本文)、同意がない間公訴時効は停止される(75条但書の「訴追の権利は、害されない」とはこの意味である)。前掲佐藤490−491頁。

4) 正しい。72条の「議案」には法律案と予算案が含まれる。後者については73条5号、また内閣法5条参照。前掲佐藤437−438頁。

5) 誤り。前半は正しいが(74条)、国務大臣の署名と内閣総理大臣の連署を欠いても法律の効力を左右しないと解されている。前掲佐藤438頁。