■公務員試験過去問解説(憲法、総論)

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■憲法の意義(地方公務員試験上級〔1990年〕)

憲法という語がA)−E)のように使われた場合、1)−5)の記述のうち、妥当なものはどれか。

A) イギリスには憲法がない。

B) イギリスは憲法の母国である。

C) 憲法の変遷が認められるかどうかは争いがある。

D) 憲法の改正の限界があるかどうかは争いがある。

E) 権利の保障が確保されず、権力分立が定められていなければ憲法はない。

1) 形式的意味の憲法はAおよびCである。

2) 実質的意味の憲法はAおよびCである。

3) 立憲的意味の憲法はBおよびEである。

4) 成文憲法はDおよびEである。

5) 不文憲法はBおよびCである。

■解説

1) 誤り。形式的意味の憲法とは成文の憲法典をさす。一方A)における憲法は「不文憲法」を意味する。また「形式的意味の憲法」と憲法変遷を認めるか否かということは、直接の関係を持たない(成文の憲法典の存在は、憲法変遷を認めない方向に傾くが)。芦部信喜(高橋和之補訂)『憲法』第5版(2011年、岩波書店)4頁、388頁以下、佐藤幸治『日本国憲法論』(成文堂、2011年)19頁。

2) 誤り。実質的意味の憲法とは、ある特定の内容を持つ憲法のことであり、ここには固有の意味の憲法と立憲的意味の憲法を含まれるが、これらと憲法変遷概念は直接関係がない。なお実質的意味の憲法は、成文不文を問わない。前掲芦部4頁以下、前掲佐藤20頁、41頁以下。

3) 正しい。B)にいう「憲法」は、18世紀末近代市民革命期に主張された立憲主義に基づく憲法即ち(立憲的意味の憲法であり、この憲法概念はE(フランス人権宣言16条)という内容を持つ。前掲芦部5頁、佐藤20頁。

4) 誤り。成文憲法概念と、憲法改正の限界の有無やE)で述べられたフランス人権宣言の内容は、直接の関係を持たない。成文憲法であってもそれが立憲的意味の憲法であるとは限らないし、不文憲法であっても立憲的意味の憲法たり得る。前掲芦部385頁以下、佐藤41頁以下。

5) 誤り。不文憲法概念と憲法変遷の有無は関係がない。