■公務員試験過去問分析(憲法、地方自治)

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■地方自治(国家公務員試験2種〔2008年〕)

地方自治に関するア)−オ)の記述のうち、妥当なもののみをすべて挙げているのはどれか。ただし、争いのあるものは判例の見解による。

ア) 憲法第31条は、必ずしも刑罰がすべて法律そのもので定めなければならないとするものではなく、法律の授権によって下位の法令にて定めることもでき、とりわけ条例は、公選の議員をもって組織する地方公共団体の議会の議決を経て制定される自治立法であるから、法律による授権の内容が一般的であり特定できないものであっても、刑罰を規定して差し支えない。

イ) 一の地方公共団体のみに適用される特別法が国会において可決された場合には、地方自治法で定めるところにより当該地方公共団体の住民の投票に付し、その過半数の同意を得たときに、さきの国会の議決が確定して法律となる。

ウ) 憲法が各地方公共団体に条例制定権を認めているからといって、地域によって取締りにおける差別が生じることを容認しているとまではいえず、地方公共団体が同一の取締事項について各別に条例を制定し、実際上の取扱いにおいて差別を生ずることになった場合には、憲法第14条に違反する。

エ) 憲法第93条第2項は、我が国に在留する外国人に対して、地方公共団体における選挙の権利を保障したものではないが、当該外国人のうちでも永住者等にあってその居住する区域の地方公共団体と特段に緊密な関係を持つに至ったと認められるものについては、その意思を日常生活に密接な関連を有する地方公共団体の公共的事務の処理に反映させるべく、法律をもって地方公共団体の長又は議会の議員等に対する選挙権を付与する必要がある。

オ) 憲法第93条第2項の「地方公共団体」と言い得るためには、事実上住民が経済的文化的に密接な共同生活を営み、共同体意識を持っているという社会的基盤が存在し、沿革的にみても、また現実の行政の上においても、相当程度の自主立法権、自主行政権、自主財政権等の地方自治の基本的権能を付与された地域団体であることが要求される。

1) ア)、ウ)
2) ア)、エ)
3) イ)、エ)
4) イ)、オ)
5) ウ)、オ)

■解説

ア) 誤り。ここでいう「法律による授権の内容」は、相当程度に具体的であり限定されていることを要する、というのが判例である(最大判昭和37年5月30日)。芦部信喜(高橋和之補訂)『憲法』第5版(2011年、岩波書店)361頁、佐藤幸治『日本国憲法論』(成文堂、2011年)183頁以下。

イ) 正しい。憲法95条。

ウ) 誤り。地方自治体に条例制定権を認めている以上、同一の取締事項につき条例で差が出るのは当然であり、14条違反となるものではない(最大判昭和33年10月15日)前掲佐藤213頁。

エ) 誤り。「法律をもって地方公共団体の長又は議会の議員等に対する選挙権を付与する必要」はない。あくまでこのような法律を制定するか否かは国の立法政策に係るものである(最判平成7年2月28日)。前掲芦部92頁、佐藤145頁。

オ) 正しい。最大判昭和38年3月27日。前掲芦部357−358頁、佐藤551頁。

よって正解は4)となろう。